シュンペーターから学ぶ「日本経済の衰退や日本企業の没落」の原因とは【中野剛志】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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シュンペーターから学ぶ「日本経済の衰退や日本企業の没落」の原因とは【中野剛志】

必要なのは〝マルクス〟でなく〝シュンペーター〟

 

◾️「資本主義の不可避的な崩壊を予測」 したシュンペーター

 

 ところで、資本主義の不可避的な崩壊を予測した『資本主義・社会主義・民主主義』に対しては、その出版当時から、これをシュンペーターの「敗北主義」だとして批判する声があったようです。そういう批判に対して、シュンペーターは、同書の第二版の序文において、猛然と反論しています。

 

 

敗北主義とは、行動との関連においてのみ意味をもつ一定の精神状態をいう。事実そのものやそれから導き出される結論は、たとえそれがいかなるものであろうとも、けっして敗北主義的でもその反対でもありえない。ある船が沈みつつあるとの報告は、けっして敗北主義的ではない。ただこの報告を受け取る人の精神のみが敗北主義的たりうるにすぎない。たとえば、船員はこの場合に座して酒を飲むこともできる。また船を救うべくポンプに突進することもできるのである。その報告がたんねんに実証されているにもかかわらず、ただ単にそれを否定するような人があれば、そのような人は逃避主義者である。

 

 

 ここに、シュンペーターの精神の高貴さが表れていると思います。こういう台詞(せりふ)が言える人間に、是非ともなりたいものです。

 

 

文:中野剛志

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中野 剛志

なかの たけし

評論家

1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)など多数。


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