不登校の小中学生約34万人超!(すべての各教室に不登校生徒が2,3人!?)「義務教育」の意味を問う【西岡正樹】
◾️「不登校」の定義とは何か? マイナスイメージが先行しすぎ?
不登校の児童生徒数が「約34万人超」という調査結果が、新聞の一面に掲載されていました。10年前の2014年と比較するとなんと約3倍。不登校の児童生徒数は2014年以降、毎年右肩上がりに増え、とうとう「約34万人」が「不登校」とされたのです。「不登校」と一括りにされていますが、「不登校」といわれる「約34万人」の児童生徒全員が、学校に全く登校していない訳ではありません(全休の子もいますが)。
「不登校」の定義としては、「年間に30日以上(欠席理由が病気、経済的理由は含まない)の欠席数に達している児童生徒」とされているのです。しかし、多くの人は「約34万人」という数字がどんなものなのか、数字だけ言われても「多そうだな」くらいで「ピン」とこないでしょう。しかし、学校現場にいる者としてこの数字を見ると、現場感として「すべての教室に不登校児童生徒が2、3人いるのかな」という感覚です。そして、その対応を自分事として想像すると、大きな「戸惑い」と共にその対応に追われ慌ただしく動き回る自分の姿が見えてきます。
こうなってしまった現状を急に変えることはできない、というのは誰もが思うところでしょうが、このような現状を目の当たりにしている今、「我々は『義務教育』そのものを考え直さなくてはいけない状況に陥っているのではないか」と、私には思えるのです。同時に、「義務教育を意識して」子どもを学校に通わせている保護者が、どれくらいの割合でいるのだろうか、という思いが頭の中を過ぎります。
そこであらためて「日本国憲法」を引っ張り出してきて、憲法26条を読んでみると次のように記されていました。
- すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。
- すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。
日本国憲法には「国民はその能力に応じて等しく教育を受ける権利があり、国民は保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負っている」とありますが、目の前には「約34万人」の子どもたちが学校に行っていないか、もしくは学校から逃避しようとしている現実があるのです。果たして、この現実を突きつけられた我々は、憲法的にはどのように解釈すればいいのでしょうか。
「不登校」も一様ではありませんが、どのような状況であったとしても、子どもたちが学校に行かないことを選択しているわけです。このような状況では、すべての子どもたちが等しく教育を受ける権利を享受しているとは言い難いと、私には思えるのです。また、「学校へ行くこと」と「教育を受ける」はイコールではないということは理解しています。「学校へ行かない」ことが「教育を受けていない」ということでもないとは思いますが、「約34万人」の子どもたちが「不登校」であるという事実を目の当たりにした時、繰り返しますが、「私たちは『義務教育』について考え直さなくてはいけないのではないか」というのが私の正直な思いです。