よく耳にする医者のセリフ その真意はどこにある?
いろんな病院にかかっても、診察中や診察後よく言われるキーワードがある。額面どおりの意味なのだろうか。
「しばらく様子を見ましょう」
医師がもっともよく口にする常套句。病名を特定できないケースで使う。その上で「こういう症状が出たらすぐ病院に来てください」と具体的に指示する医師は信頼できるが、曖昧なことしか言わないのはダメ医者だ。
「とりあえず薬を出しましょう」
「様子を見ましょう」と同じで、診断がついていないことが多い。この言葉を頻繁に口にする医師は自分の見立てに自信がなく、無難な薬ばかり出すので、なかなか症状が改善せず、通院が長引くという結果に陥りやすい。
「薬がなくなったら、また来てください」
患者をお客さんとしか思っていないカネ儲け第一主義の開業医のセリフ。糖尿病、高血圧、高脂血症など、慢性期の疾患を持つ患者たちは通院が長期にわたるので、クリニックの経営を支えてくれる大切なお得意さまなのだ。
「(手術は)成功しました」
多くの場合は額面通りに受け取ってかまわないが、中には「開いたものはちゃんと閉じ、手術室で亡くなることはありませんでした」というケースも。大学病院で外科医が無理な手術に踏み切る例がたびたび報告されている。
「(患者からの質問に対し)心配しなくても大丈夫です」
きちんと症状の説明をしようとしない医師は自身の診断や治療法に自信がないか、面倒くさいかのどちらか。診療内容を知り治療法を自ら選ぶインフォームドコンセントは患者の権利。そうしたことを怠る医師は時代遅れだ。
「他に何か心配なことはありますか」
浅草クリニック副院長の内山さんが診察の最後に患者にかける言葉。そこで再び話しだしたり、疑問をぶつけてくる人も少なくないという。患者の不安を取り除き納得するまでフォローするのが“いい医者”の姿勢なのだ。
取材・文/田中 幾太郎 イラスト/横田ユキオ