アドラー心理学が教えてくれる、「自分が嫌い」をやめる方法【梁木みのり】
担当編集者書き下ろしコラム
■「自分が嫌いな人」が増えている
「自分が嫌い」という人が、世の中に増えた気がする。
能力や容姿など、無言のうちに求められる“普通”の基準が急激に上がり、そこに届かない人たちが自分を責めている。それに「自己肯定感」という言葉も、みんながみんな高く持てていればこんなにも流行らなかったはずだ。
今回、編集を担当した『アドラーに学ぶ どうすれば幸福に生きられるか』の著者・岸見一郎氏も本の中で、「カウンセリングにこられる人に『自分のこと、好きですか』とたずねると、ほとんど例外なく『嫌い』という答えが返ってきます」(第二章「幸福に生きるための自分との向き合い方」)と書いている。
自分を嫌う人生が幸せであるはずがない。逆に「嫌い続ける」のはなぜなのか? ネガティブでい続けられる人には、実はそうするだけの“余裕”がある、というのが私の持論である。そういう人たちは、まだ仕事や人間関係の面で困っていないから、自分の嫌いなところを変えることをせず、そこに安住しようとする。
アドラー心理学では、「全てが自分の選択」という立場に立つ。これをスパルタ的だと思う人は、おそらくまだ変わらなくてもいいし、本書もそれほど読む必要がないかもしれない(担当編集者としては、どんな人にも読んではほしいが!)。
いよいよ「このままではダメだ」と余裕がなくなってきた人や、あるいは「そうか、ここから出る方法があるのか」と前向きな気持ちで気づけた人のために、本書があると思う。
自分を嫌いな理由のうち、冒頭にあげた能力や容姿については、ある程度までは努力で解消できるだろう。しかし、整形という努力に依存して、それを際限なく繰り返す人がいるから、それが根本的な解決になるわけではない。
アドラー心理学的に考えると、自分が嫌いな人は、「自分を好きにならないでおこう」という決心をしている。だから、嫌いな箇所を一つずつ直しても、自分自身を嫌い続けることに変わりはない。