世界を動かす!「ダボス会議」の裏側(非制限エリア)に潜む巨富と権力【林直人】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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世界を動かす!「ダボス会議」の裏側(非制限エリア)に潜む巨富と権力【林直人】

異能の起業家・林直人 「ダボス会議」裏側潜入記 #01

▲今年のダボス会議に参加したビル・ゲイツ

スイスのダボスで毎年1月に行われる「ダボス会議」。その名前は教科書にも乗っているぐらい有名だ。しかし、そこに“オモテ”と“ウラ”があることは知られていない。異能の起業家・林直人氏がダボスからの現地潜入レポート!全10回を集中連載する。


■ダボス会議の“オモテ”と“ウラ”

「ダボス会議」。その舞台裏では、世界中の富裕層と学者たちが密接なネットワークを築いている。環境問題や国際的な社会課題を真剣に議論する「世界経済フォーラム」、その表側(制限エリア内)はよく知られているが、その裏側(非制限エリア)もある。そこには、研究の最先端に立つ学者たちと、投資戦略を求める資産家たちが集う。

 

▲ダボス会議における制限エリア(表側)と非制限エリア(裏側)、非制限エリアがダボスの街の8割程度を占め、圧倒的に大きなエリアであることがわかる

 

 名だたる専門家や政府関係者たちは巨額の報酬への機会を得て、富裕層に未来を占う講義を行うのだ。非制限エリア(裏側)のホテルのスイートルームでの講義をきっかけに、月数百万円、場合によっては月数千万円もの顧問料が支払われることもある。

 ビル・ゲイツやジャック・マー、各国の経済リーダーたちが集うこの会議では、公式議題の裏側(非制限エリア)で莫大な資産移動と情報交換が進んでいる。

 昨年の中国の李強氏の発言を見ても、ダボス会議での要人の発言が為替市場や株式市場を動かすことも珍しくない。また、今年Deepseekショックを引き起こしたキーパーソンの発言は非制限エリア(裏側)でなされた。

 スイスにあるダボスの景色は、日本の北秋田郡のような片田舎を思わせるが、会議期間中は一泊100万円の超高級ホテルが争奪戦の舞台となる。

 私たちも現地で宿泊施設を確保できず、ダボスから1時間半離れた別荘を借りる羽目になった。現地には「制限エリア(表側)」と「非制限エリア(裏側)」が存在する。制限エリア(表側)には国家元首や巨大企業のトップしか入れず、私たちが参加した非制限エリア(裏側)では、各国、企業がブースを構えていた。ブースに入るには個別交渉が必要で、交渉を有利に進めるには「経済学者(を始めとする世界的専門家)」や「超富裕層(一般的には5億円以上の資産を持っている者をいうが、ダボス裏側の基準では2桁億円以上の資産を持つことが「人間」の条件である)」の同行が必須だ。

 

▲筆者が泊まったダボス近郊の山荘、Airbnbで確保、ダボスの隣町だがここからダボスまではバスで1時間ほどかかる

 

■「1週間1億円」高額なブース料が払えれば…

 

 ダボス会議を批判した書籍『ダボスマン』(著:ピーター・S グッドマン)では、著者が世界的経済学者スティグリッツを伴って潜入取材に行ったエピソードが語られている。学者とダボス裏側基準の「超富裕層」、この二者が揃わなければ、ダボスでの情報アクセスはほぼ不可能だ。ブースの出店費用は1週間あたり約1億円とされ、モンゴルやインドネシア、キルギスなどの発展途上国が自国の税制の優位性をアピールしていた。これらの国々は、戦争や政情不安から逃れようとする富裕層をターゲットにしている。

 特に注目されたのは、アジア人にとっては朝鮮半島や台湾周辺の緊張感に対する安全策だ。戦争が起きたら即座に避難できるよう、複数国の永住権やパスポートを取得している富裕層は少なくない。アメリカでは約1億円の不動産投資で永住権が得られるため、二桁億円の資産を持つ層にとっては現実的な選択肢だ。そこまでいかない、数千万円から数億円規模の資産を持つ層にとっては、キルギスやモンゴル、ジョージアなど税金が安くビザ取得が容易な国が現実的な候補となる。

 富裕層や学者の付き人でダボスに来ているような若者には、これらの国々でのビザ取得は十分考慮に入れるべき選択肢になる。また、富裕層にとっても逮捕や戦乱などを逃れる選択肢は多い方が良く、これらの選択肢に対する興味はダボスの幅広い層に存在する。

 ダボス会議は単なる国際会議ではなく、世界を動かす情報と資産が交錯する極めて戦略的な場だ。ここでネットワークを築ければ、グローバル経済における競争優位性を一気に高めることができる。日本からのブース出展の要望もあるが、高額な費用や英語対応といった課題が依然として高い壁となっている。私も現地の不動産オーナーと交渉を行い、日本からのブース展開を模索しているものの、課題は山積している状況だ。実際に私はミーティングでダボスの不動産オーナーと話す機会を持ったが、彼らは「1週間1億円」という賃料を曲げない。とにかく強気なのである。

 それでも、世界のエリートたちが一堂に会するダボス会議の魅力は計り知れない。今後も国際舞台での動向を注視し、次なるチャンスを逃さぬよう準備を進めていく必要がある。

 こうしてダボス会議の裏側は、富裕層と学者たちによる「世界の未来を先取りする」舞台として、今後もその重要性を増し続けるだろう。


p.s.ダボス会議の裏側(非制限エリア)でダボス会議の期間中1週間1億円でレストラン・会議室・ブースを含めた施設を目抜き通りで貸してくださるという物件オーナーを知っています。

日本人を代表してダボス会議にブースを出したいという方はyourmanifestojp@gmail.com
までご連絡ください。

(ダボス会議・世界経済フォーラムの正式メンバーでない企業の方は、ダボス会議・世界経済フォーラムの公式の支援・ブランディングは受けられないそうですが、とりあえずオーナーさんとのzoomミーティングを設定することは可能です)


文:林直人

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林直人

はやし なおと

起業家

1991 年宮城県生まれ。仙台第二高等学校時代にうつ病を患いながらも、独学で慶応義塾大学環境情報学部に入学。在学中に勉強アプリをつくり起業するも大失敗する。その後、毎日10 分指導するネット家庭教師「毎日学習会」(https://everydayprep.jp/)を設立し、現在に至る。毎年100 人以上の生徒を指導し、早稲田・慶応・上智を中心に合格者を多数輩出している。著書に『小論文はセンスじゃない! 』(エール出版)などがある。

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