『モノ・マガジン』という発明【新保信長】新連載「体験的雑誌クロニクル」7冊目
新保信長「体験的雑誌クロニクル」7冊目
『Made in U.S.A. catalog』に端を発し『ポパイ』へと継承されるカタログ的雑誌はオシャレとモテ(女子ウケ)を旨としていたが、『モノ・マガジン』はそうではなかった。創刊当初のミリタリー、ヘビーデューティ系から、90年代のコレクターズアイテム路線を経て、2000年代以降のホビー、マンガ、特撮への傾倒まで、ジャンルが違うだけで基本的にオタクの世界である。ある意味、時代の変化には強い。
1988年に創刊された類似誌のうち『Vice』は89年、『ビーツール』は92年、『ギア・マガジン』は93年にあえなく休刊。しかし、『グッズプレス』と『ビギン』は生き残っているし、『GetNavi』(ワン・パブリッシング/1999年創刊)、『MONOQLO』(晋遊舎/2009年創刊)といった新規参入のモノ情報誌も健在だ。ビジネス寄りで傾向は違うが『ダイム』(小学館/1986年創刊)も独自のポジションをキープしている。
そして、『モノ・マガジン』も月2回刊で刊行中だ。「ゴジラだ!ガメラだ!ウルトラだ!超大怪獣の世界」(2023年3月16日号)、「円谷プロ60周年大特集」(同11月16日号)などの号は、つい買ってしまった。本稿執筆時点の最新号「ラジオ100周年」(2025年2月16日号)も買ってみた。誌面のにぎやかさやウンチクの豊富さは昔と変わらない。ただ、手間ヒマかけたブツ撮り写真がないのと、コラムやエッセイの読み物ページがないのは、経費節減の折からやむを得ないとはいえ、ちょっと残念。
仕事をしたのは短期間だったが、編集者としての第一歩を踏み出した雑誌であり、それなりの愛着はある。「ラジオ100周年」の号が953号なので、あと2年ほどで1000号になるはず。記念の特大号が出たらたぶん買います。
文:新保信長