「ダボス会議」ブースで勢力図が丸見え! 日本は存在感ゼロ。〝モンゴルのトランプ〟が存在感【林直人】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「ダボス会議」ブースで勢力図が丸見え! 日本は存在感ゼロ。〝モンゴルのトランプ〟が存在感【林直人】

異能の起業家・林直人 「ダボス会議」裏側潜入記 #02

▲2019年のダボス会議で演説をぶつ安倍晋三

スイスのダボスで毎年1月に行われる「ダボス会議」。その名前は教科書にも載っているぐらい有名だ。しかし、そこに“オモテ”と“ウラ”があることは知られていない。異能の起業家・林直人氏がダボスからの現地潜入レポート!全10回を集中連載する。第2回ではブースの出展状況から見えてくる、各国の勢力図に触れる。


■ブースの太客は学者と超富裕層

 ダボス会議の舞台裏は想像以上に秘密に満ちている。非制限エリアでは、各国のブースへの入場に激しい交渉が必要だ。なぜなら、ブース出展者たちは基本的に二種類の客しか入場させない。すなわち、学者と超富裕層である。

 第1回でも触れたが、『ダボスマン』という本がダボス会議を批判して話題となった。ニューヨーク・タイムズの記者である著者は、世界的経済学者ジョセフ・スティグリッツに同行して初めて会議に潜入できたという。つまり、ダボス会議での成功は、いかに一流の経済学者や資産家とつながるかにかかっているのだ。もしダボス会議に行きたいなら、超富裕層や著名な経済学者を連れて行かなければならない。それができなければ、どのブースにも入ることはできない。

 超富裕層の基準とは何か? 世界中の国々では、だいたい1億円ほどの資産を投じれば移住用ビザを取得できる。アメリカでも、不人気な不動産を1億円で購入することで永住権を得られる仕組みがある。こうした資産がパッと出せるレベルが、ダボスにおける超富裕層の最低基準だ。少なくとも二桁億円の資産がなければ、ダボスでの活動は厳しいだろう。経済学者もまた特別な存在である。ダボス会議の理事は世界中で30名しかいないが、その中の一部を形成しているのが世界的な経済学者である。

 キルギスの非制限エリアブースでは、低い税率で多くの投資家・起業家を集める努力をしていた。パソコン一台で月数百万円以上を稼ぐデジタルノマドには1年間のビザを提供しており、戦乱から逃れるニーズなどで活況を呈していた。

■日本からの出展企業は1社のみ

 非制限エリアに並ぶ各国のブースは、国ごとの勢力争いと情報発信の最前線となっている。モンゴル、インドネシアなど、様々な国がブースを出展しているが、その費用は1週間で1億円とも言われている。

※モンゴルブースのオーナーはモンゴルの金融グループを率いる怪物級事業家 GANHUYAG Chuluun Hutagt。モンゴルでは財務副大臣を勤めた経験もある。ドナルド・トランプ米国大統領が出演した「アプレンティス」のモンゴル版にも出演。

 

 最近では、空きブースが増え、以前ほど高額ではなくなってきたとは言え、日本からブースを出すのは困難を極めている。理由の一つは日本の税金の高さだ。シンガポールやドバイのように税率が低ければ、富裕層が数億円を軽々と投じることも可能だが、日本ではそう簡単にはいかない。結果として日本企業でブースを出しているのは富士通くらいで、他の企業はほとんど姿を見せない。

 実はこのブース費、料金表のようなものは存在しない。交渉の世界では、すべてが現場での駆け引きであるからだ。そもそも、ブースを出したいという情熱を持っている日本企業は少ないが、さらに英語を流暢に話せる担当者が足りないという、言語の壁も問題になっている。

 一方で、ブース出展が活発な国々もある。インドやモンゴルのようにバブル景気を迎えている国々では、億単位の投資が当たり前だ。こうした国々からは、豊富な資金を持つ超富裕層が集まり、彼らは「一晩で数千万」という費用をさして気にしない。これが国際会議の舞台裏で繰り広げられている現実だ。ダボス会議は、単なる討論の場を超え、国際的なビジネスと影響力の象徴的なステージとなっている。

 もし日本がこの舞台に本格参入したいのであれば、税制改革や人材育成といった根本的な課題に取り組む必要がある。さもなければ、この華やかな国際イベントの中で日本の存在感はますます希薄になっていくだろう。


p.s.ダボス会議の裏側(非制限エリア)でダボス会議の期間中1週間1億円でレストラン・会議室・ブースを含めた施設を目抜き通りで貸してくださるという物件オーナーを知っています。

日本人を代表してダボス会議にブースを出したいという方はyourmanifestojp@gmail.com
までご連絡ください。

(ダボス会議・世界経済フォーラムの正式メンバーでない企業の方は、ダボス会議・世界経済フォーラムの公式の支援・ブランディングは受けられないそうですが、とりあえずオーナーさんとのzoomミーティングを設定することは可能です)


文:林直人

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林直人

はやし なおと

起業家

1991 年宮城県生まれ。仙台第二高等学校時代にうつ病を患いながらも、独学で慶応義塾大学環境情報学部に入学。在学中に勉強アプリをつくり起業するも大失敗する。その後、毎日10 分指導するネット家庭教師「毎日学習会」(https://everydayprep.jp/)を設立し、現在に至る。毎年100 人以上の生徒を指導し、早稲田・慶応・上智を中心に合格者を多数輩出している。著書に『小論文はセンスじゃない! 』(エール出版)などがある。

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