『モンハン』は瞬発力のあるゲームにしたかった
『モンスターハンター』シリーズの開発者に訊く!
◆“つながる楽しさ”を世間に浸透させた
こうして04年3月、PS2ソフトとして『モンスターハンター』(出荷本数:約29万本)が発売されたが、爆発的なヒットに繋がった要因は携帯型ゲーム機だった。
ソニー・コンピュータエンタテインメントが04年12月に発売した携帯型ゲーム機「PSP(PlayStation Portable)」向けに『モンスターハンター ポータブル』を発売。出荷本数はPS2版の倍以上となる66万本に達し、さらに07年2月に発売された『モンスターハンター ポータブル 2nd』は170万本を突破。シリーズ初のミリオンセラーとなった。
辻本P やっぱり携帯機の存在は大きかったですよね。というのも、僕たちがオンラインゲームを製作するなかで、一番の障害はオンライン環境だったんです。当時、オンライン環境が整っていない家庭もあり、あっても有線というケースも少なくなかった。ところが、通信環境を持った携帯機の登場で、その障害が一気に取り払われたと思います。
藤岡D つながる楽しさ、マルチプレイの魅力が、PSPの登場で急速に広まりましたよね。携帯機の瞬発力が高いため「これ面白いから、一緒にやろうよ」となり、ユーザーがプロモーションしてくれた部分も大きかったと思います。
辻本P 外でプレイするユーザーも多かったのですが、それ自体がもうプロモーションでしたよね。ホント、早い段階からコンシューマーネットワークに携わったこともあり、そのノウハウを携帯機でも導入できたのは、大きかったと思いますよ。
藤岡D 本当ですよね。オンラインゲームの魅力のひとつは瞬発力だと思いますが、これって僕らのアーケードゲーム時代の経験も生きていると思います。アーケードのワンコインゲームは「これで一緒に遊ぼうぜ!」という瞬発力が欠かせないのですが、そうした“瞬発力のあるゲーム作り”が『モンハン』の根底にあるのかなと思います。
オンライン環境が未発達だった時代からコンシューマーネットワークに乗り出し、大ヒットゲームへと成長を遂げた『モンハン』シリーズ。その背景には、携帯型ゲーム機の存在以外に、当時のMOゲームやファンタジーゲームの主流を追わず、独自の「ハンティングアクション」を打ち出したこと。そして、アーケードゲーム時代に培った「瞬発力のあるゲームづくり」の経験が大いに生きたこと。この2つの要因があったことも見逃せない。