ドゥテルテ大統領来日!
「中国と軍事的協力はない」
南シナ海で起きていた現実とは?
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
この報道を受けて、中国の王毅[一九五三~/日本語、英語に堪能]外相は「おそらく西側メディアの『でっちあげニュース』のやり方であろう」と、米国メディアがあおっているといわんばかりのコメントを当初はしており、また翌日の外交部定例会見でも報道官は「詳しくは承知していない」と言葉を濁した。
だが、国防部は「南海(南シナ海)の武器配備はすでに何年も前から行っている」と、開き直って事実を認めた。さらに、米戦略国際問題研究所の衛星写真をもとにした分析によれば、南沙諸島のクアテロン礁で高周波レーダー施設と見られるポールが建設されていたという。永興島には戦闘機J–11号が配備されたことも確認された。
中国国防部がいうように、南シナ海の武器配備は今に始まったことではなかった。
中国、ベトナム、台湾が領有を主張する西沙諸島は目下、中国が実効支配を固めている。紅旗9が配備された永興島に関しては第二次大戦後、日本がその領有権放棄を宣言したあと、国共内戦で敗走してきた国民党軍が上陸するも、一九五〇年、中国共産党の武装漁民によって占拠された。
一九五六年までに西沙諸島の東半分が中国の実効支配下に置かれ、西半分は南ベトナム(ベトナム共和国)が実効支配。ベトナム戦争末期の一九七四年、南ベトナムの疲弊を狙って中国が軍事力でもって西沙全体の実効支配を実現。このとき、南ベトナムの護衛艦が撃沈されている。
※福島香織著『赤い帝国・中国が滅びる日』発売記念、緊急抜粋連載。
著者略歴
福島香織(ふくしま・かおり)
1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。共著も多数。
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