ドゥテルテ大統領vs習近平主席
南シナ海問題棚上げの真相と
中国の軍事挑発の可能性
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
南シナ海は中国海南島にある戦略核ミサイル原潜の基地の接続水域であり、南シナ海の島々の中国の軍事拠点が完成されることで、この海域は中国原潜のサンクチュアリとなり、米国の影響力を第二列島線の向こうまで後退させるという戦略目標への実現の一歩となる。
このように考えると、南シナ海については、中国としては当面は派手な挑発行動をするよりも、態度を軟化させたふうに見せようという戦略にシフトするのではないかと思われる。ただ、態度が軟化したように見えても、南シナ海の軍事拠点化は確実に進められる。
南シナ海で着実に実行支配強化を進める一方で、六月あたりから東シナ海に対して軍事挑発行動をとり始めたのは次の段階への布石ではないだろうか。
※福島香織著新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』発売記念、緊急集中連載。
著者略歴
福島香織(ふくしま・かおり)
1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。共著も多数。
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