日本人は球際でどう勝負すべきなのか。
デュエルの精度を上げるためにもっとも大事なこと――岩政大樹の「現役目線」
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■新しいセオリー探しの先に見えたもの
それから僕の新しいセオリー作りが始まりました。毎日、練習や試合で起こった様々な現象を深く掘り下げ、考えました。たくさんの試合を見て、ピッチで起こる法則性を探しました。僕が確信を持って進める道を探していたのです。
まず、僕の中で大事だと思っていた、「読み」というものに疑いをもってみました。「読み」というのは当たればいいプレーですが、外れれば取り返しがつきません。プロに入って感じた「レベルが高い選手は相手の読みの逆を取ることができる」、これが正しいとすれば、「読み」に頼ることは間違いなのではないかと考えました。
そこで僕は相手選手のプレーによって変わることがないものを探しました。それが、守備の「ビジョン作り」であり、「ポジショニング」へのこだわりでした。ボールを持った選手がどういう判断をするのか、ボールを受けようとする選手がどのような動きをするのか、自分がどこに立ち、味方をどこに立たせればいいのか。相手の立場に立って考え、そこにある法則性を探し、当てはめてみては修正する作業を繰り返しました。
僕のように身体能力のない選手は、相手の動きに合わせて受動的な動きを繰り返していては付いていくことができません。だから、僕は常に自分の守備のビジョンに則り、相手の判断を先回りして守備をしていくことにしたのです。