日本人は球際でどう勝負すべきなのか。<br />デュエルの精度を上げるためにもっとも大事なこと――岩政大樹の「現役目線」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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日本人は球際でどう勝負すべきなのか。
デュエルの精度を上げるためにもっとも大事なこと――岩政大樹の「現役目線」

「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦

■「デュエル」と「新しいセオリー」の関係性

 結果的に、この作業が、曲がりなりにもプロサッカー界で13年間、守備の人間として戦うデュエルを身につけることに役立ちました。
 こう言うと、「デュエル」という言葉のイメージとは違う話に感じる方もいらっしゃるかもしれません。多くの方はもっと球際での勝負をデュエルと思われていると思います。

 それは確かにそうです。ただ、サッカーにおけるデュエルとは、まずボールが来る前にスタートしているということを忘れてはいけないのです。

 サッカーでは90分の中で、1人の選手がボールを持つ時間はたったの2分から3分と言われています。そのことから、攻撃の選手には以前から「オフザボール(ボールを持っていない時)」の動きの重要性が盛んに言われていますが、なぜかあまり守備の選手については言われていません。しかし、球際での勝負やフィジカル的な戦いが主と捉えられている守備の選手こそ、ボールがないところでの準備やポジション修正が大切なのです。

 サッカーにおけるデュエルとは、よーいドンで始まるわけではありません。スタートする場所もタイミングも自分で決められます。
 ボールが来る前に適切な"ポールポジション"を取り、適切な判断をすること。それがデュエルの精度を上げる最も大事なことだと思います。

 とは言っても、最終的には球際の勝負にもちろんなります。五分五分のボールをマイボールにできるか、相手からボールを奪うことができるか、奪えなくてもしっかり体を寄せることができるか。そこから逃げていてはサッカーは戦術も技術も何も意味を成しません。

 球際の勝負ではまず、大前提として、「相手に負けない!」「絶対に勝つ!」という気持ちが絶対的に必要です。それをどんな時も持ち続けられることは局面において何より大切です。空中戦においても地上戦においても、この気持ちを持てている時と持てていない時の勝率は遥かに違います。
 ただ、こうした局面で大事な気持ちの強さとは、(言葉で表現するのが難しいですが)外向きの気持ちの強さではなく、内向きの気持ちの強さだと思います。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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