眼鏡をかけたらよけいに目が悪くなる?
専門医•日比野佐和子と林田康隆氏が語る目の新常識⑤
◇眼鏡をかけたら視力悪化は本当か?
「”眼鏡をかけたら視力が却って悪くなる”というのは本当ですか?」
これは本当によく聞かれることですが、眼鏡をかけたらよけいに目が悪くなるなんて、まったく根拠がありません。少なくともそれを裏づけるデータがありません。
先にお話ししたように、視力低下を招く原因は、ほとんどの場合が環境です。たとえ眼鏡をかけて以前よりよく見えるようになっても、目を酷使したり、ブルーライトや紫外線を浴び過ぎたりなど、環境を改善しなければ裸眼視力は低下してしまいます。
◇合わない眼鏡をかけている人は注意!
それと、合わない眼鏡をかけている人がとても多いことに驚きます。眼科を訪れる患者さんのなかには、「この眼鏡、10年以上愛用しています」とか、「こめかみに跡がつくのが嫌でほとんどかけていないんですよね」など、明らかにご自身に合っていない眼鏡を持ってこられる人がいます。
一般的な眼鏡は、視力を回復させる器具ではありません。不足した視力を“補う”道具なのです。しかも眼鏡をかけたからといって、遠くも近くも、明るい場所でも暗い場所でも、広い視界で歪みもなく見える、なんていう「目がいい人」のようになれるわけではありません。過度な期待から「よくならなかった」=「悪くなった」と捉える人もいるでしょう。
◇裸眼でいる時の環境こそが大切
眼鏡は検査やカウンセリングによって、人それぞれの視力や生活環境に応じた矯正度合いの製品が選ばれます。それが実際の使用環境に合わない状態で使い続けると、かえって視力が低下してしまうこともあります。
さらにコンタクトレンズは、眼鏡よりも装用する環境や方法、製品の質などが視力に大きな影響を及ぼします。たとえばカラーコンタクトのようにファッション性を重視するコンタクトのなかには、酸素透過率の低いものがあるので、注意が必要です。
眼鏡やコンタクトの装用に関係なく、裸眼の環境、健康状態をよりよくしてあげることを何より大切にしてください。