アメリカ大統領選挙とは一体、何なのか?⑥
アメリカ人にとって、他州のことは感覚的に外国
倉山満によるアメリカ大統領選挙解説シリーズ第6回
東海岸や西海岸の一部では新幹線のような高速鉄道を導入しようという動きもあるようですが、飛行機会社は自分の利権を脅かされるので、反発します。
また、すでに車社会なので、高速道路でビジネスをしている会社も反発します。
それに、やはり広すぎるので、アメリカ人の移動は飛行機か、引きこもりで移動しないかのどちらかになります。
飛行機に乗ったことがない人というのもたくさんいますし、州外に出たことがない人もたくさんいます。
アメリカ人にとって、他州のことは感覚的に外国なのです。
実際、カリフォルニア州一つとっても日本列島とほぼ同じ大きさがありますし、ヨーロッパのたいていの国より大きいのです。
ブッシュ二世のおバカ語録を見ても全部「テキサスでは……」なので、アメリカ国民という意識よりもテキサス人という意識の方が強いことが窺えます。
これがアメリカ人の国と州に対する帰属意識の乖離(かいり)や生活圏や文化圏の違いをよく表していると思います。
織田信長の時代は尾張と三河は違う土地で、今でも旧駿河や遠江(とおとうみ)の静岡県民が伊豆を同じ静岡だと思っていないのと同じような感覚です。
このようなバラバラな国民にできる限りの政策のアピールをした後は、いよいよ、十一月の第一月曜日の次の日が本選の一般投票日です。
これで共和党と民主党のどちらが各州を取るのかが決まり、間接民主制という形式を装って、十二月に形式的に選挙人による投票をやります。
選挙人の数は上院と下院を足して、五三八が総数なので、いつも二七〇が当確ラインとなります。
そして、一月に晴れて就任式となるのです。
『大間違いのアメリカ合衆国』より
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