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「公益通報は完全に無視」裏金問題・世耕弘成理事長に“NO”を突きつけた組合書記長の告発――近畿大学“世耕独裁”の実態とは

■世耕一族の大学支配と横行する「コネ人事」

 

▲キャンパスで睨みをきかす、大学の創設者・世耕弘一の銅像 写真:近畿大学公式HPより

 

——世耕理事長は学内での影響力は大きいのでしょうか。

藤巻 創設者の孫ですから絶大です。私は2011年に近畿大学へ移ってきたのですが、当時は世耕さんの父親が理事長だったんです。その頃も今も世耕一族が、大学経営の中枢にいるので、逆らうなんてとんでもないって空気がありますね。

 特に長く勤務している人ほど、世耕一族には逆らえないと思っているところがあります。

——世耕弘成さんが学内で自分の影響力を誇示するようなことはありましたでしょうか。

藤巻 2012年の新年会で、当時は民主党政権でしたが、世耕さんが「政権奪還のために今年こそ自民党は頑張りますよ」みたいなことを言ったんです。大学の新年会って学内の行事なので、政治的中立性を守らないとダメじゃないですか。それを平気で破る。世耕派の教職員たちは拍手喝采ですよ。

「とんでもないところにきたなあ」って思いましたね。

——他にもそうした出来事はありますか。

藤巻 あります。2014年の9月に当時の文芸学部長から、「文芸学部である人を特別枠で採用しなければならない。これは『世耕人事』だから、断ることはできない」と言われたんです。

 その方は研究者ではあるのですが、過去5年間で論文ゼロと業績が芳しくありません。また、その人の専門分野も学部で必要とされていなかったので、最初に受け入れを求められたA学科は拒否しました。困った学部長は、B学科、C学科と打診しましたが、結局、どの学科も難色を示しました。それでも学部長はこのコネ人事を強引に進めようとしているので、私は組合に相談しました。

 すると、学部長が会議で組合批判を始めたんです。しかも彼は、この人事に反対した教員に対して恫喝までしています。

 結局、ここまで騒ぎが大きくなったからには文芸学部では受け入れられないということで、学内の某研究所に無理やりポストを作り、そこで受け入れが決定したのですが、その時も私は学部長から脅されましたよ。

——どうしてそんなひどい目にあったのでしょうか。

藤巻 私が、「研究所で採用してから、すぐに文芸学部に異動させるのではないか」「異動させないことを法人に約束してくれ」と会議で求めたりして、目障りだったのでしょう。学部長は世耕派でしたからね。

 恫喝された件は、大阪府労働委員会に不当労働行為救済申立をして、2018年に不当労働行為として認定されています(※1)。

——世耕理事長肝入りの研究者は、これだけ揉めたのに近畿大学へ入ったのですか。

藤巻 2015年4月に、学内の某研究所に着任しています。今もそこにいますね。

——よく残っていますね。

藤巻 世耕案件だからでしょうね。理事長に近ければ良い待遇を受けられます。

 文芸学部には、ある俳優が客員教授で在籍しているのですが、これも理事長人事だと思います。その俳優は世耕さんの高校の先輩だったそうですから。

 ところが、その人のいるA学科のカリキュラムには彼は必要ではなかったんです

 なので、学科の教員たちは困り果てて、経営側と交渉して、ようやく文芸学部のどの学科にも属さない客員教授という形で落ち着いてもらいました。

——いくら有名な俳優さんでも、いらない人が来られたら困りますね。

藤巻 おっしゃる通りです。こうしたお友達人事は他の学部でもあるみたいです。

——他にはどんな人がいるのですか。

藤巻 かつては経済学部に高市早苗さんがいましたが、現在在籍しているある国会議員も、おそらくお友達人事ではないかなと思います。その人はずっと経済学部で客員教授をしていますけど、いつまで経っても定年退職しないんです。

 近畿大学は、定年規程で、教員の定年を66歳と定めています。でも、その議員は72歳ですよ。それなのにまだ客員教授なんです。

——それは大学の規程違反ではないのですか。

藤巻 違反ですね。定年規程では、専任教員の場合、一定の条件で定年を延長することが可能となっています。でも、客員教員規程には定年延長の定めがないんですよ。なので、その国会議員が今でも客員教授を続けることは、ルール上できないはずなんですけどね。

——学内で問題視する人はいないのですか。

藤巻 こういうことを放置すればガバナンスが崩壊してしまうので、本当は強く反対するべきだと思います。でも、この種の「特別待遇」は他にも多々あるので、全部を取り上げていたらキリがないんです。その客員教授について言えば、年に1〜2回講演しに来るだけなので、それほど問題視しなくてもいいかなと(笑)。

※1:近畿大学は、藤巻和宏教授への恫喝が大阪府労働委員会に不当労働行為認定されたことを皮切りに2024年まで6件も不当労働行為の認定が続いている。
(1)2016年2月23日申立 学部長による支配介入 府労委で救済命令(2018年1月29日)、中労委で和解(2019年1月29日)
(2)2017年6月12日申立 団交拒否・組合間差別 府労委で救済命令(2020年6月30日)
(3)2017年10月25日申立 分会交渉拒否・掲示板撤去 府労委で救済命令(2019年11月30日)
(4)2019年7月9日申立 団交拒否・夏期手当不支給通告 (5)と併合し府労委で救済命令(2022年5月16日)
(5)2019年9月17日申立 入試手当不支給通告・組合ニュース廃棄 (4)と併合し府労委で救済命令(同上)
(6)2021年9月14日申立 過半数代表者選挙への介入・和解条項違反・団交拒否 府労委で救済命令(2024年1月12日)

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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