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「公益通報は完全に無視」裏金問題・世耕弘成理事長に“NO”を突きつけた組合書記長の告発――近畿大学“世耕独裁”の実態とは

■形骸化した公益通報窓口の実態

——世耕理事長の横槍人事は現場の職員さん達にとってハラスメントにならないのですか。

藤巻 私もそう思います。しかし、情けないことに、この大学は公益通報窓口が機能していないんです。

——どういうことですか。

藤巻 近畿大学には監査室法人倫理推進課という、ハラスメント申し立てや、研究不正の調査、公益通報の窓口となる部署があるのですが、そこが経営側や管理職の味方ばかりして、まともに調査をしないので、申し立てた人たちは泣き寝入りするしかない状況なんです。

 

▲HPには立派な公益通報窓口のページがある 画像:近畿大学公式HPより

 

 監査室には、世耕さんと近い職員が結構いるのか、経営側に配慮しているなんて言われていますよ。

 どれくらいひどいかというと、例えば、ハラスメント調査に際し、本来、調査員以外が知るはずのない情報が相手方に漏れたり、調査結果に対する不服申立書を、勝手に相手方に手渡したり。さらに、ある学部で行われていた組織的な著作権侵害を通報したところ、侵害は認定されたものの、誰も処分を受けず、その事実も公開されずに隠蔽されています。その上、通報者は嫌がらせを受けました。

——それはひどい……

藤巻 まだあります。2024年の総選挙で、世耕さんが理事長職にありながら近大を自身の政治活動に利用することを繰り返してきたとして、組合が公益通報したんです。

 彼は、10月14日に出馬表明した時、Xで【表明】と題してこう投稿したんです。

〈安倍さんは生前最後の大学でのスピーチでこう述べていました。「私は第1次安倍政権を途中で放り出して安倍晋三は政治家として終わったと言われていた。でもそこから5年かけて総理大臣の座に返り咲くことができた。それは、自分が特別に優れた人間だったからではない。特別に強い人間だったからでもない。ただ一つ諦めなかったからです。」(中略)私も決して諦めていません。今回の選挙は、私は退路を断っての選挙ですが全力で頑張ってまいります〉

 しかも、近大卒業式で故・安倍晋三氏がスピーチしたことなどを写真つきで投稿したんですよ。明らかに大学の私物化であり政治利用です。だから「教育の政治的中立」を定めた教育基本法14条2項の〈法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない〉に反する疑いがあるとして公益通報したんです。

 教育基本法は、公益通報者保護法の対象ではありませんが、学内の公益通報規程はそれよりも範囲が広いので、調査くらいはしてくれるだろうと期待して。しかし完全に無視されました。不受理として、調査すらしていません。

——世耕理事長のやりたい放題を学生は知っているのでしょうか。

藤巻 こうした実態を知る以前に、世耕さんが理事長だというのを知らない学生の方が多いかもしれないですね。昨年世耕さんが自民党を離党したのが4月4日。その2日後に近畿大学で入学式があったんですが、マスコミが詰め掛けまして、その時にインタビューに答え、「世耕さんが理事長だと初めて知った」という学生もいました。一方で、世耕独裁体制を批判する学生もいますが、大部分は無関心だと思います。

 そういう状況ですから、安倍(晋三)さんを大学の卒業式に呼ぶことや、それを選挙に利用することは不適切な政治利用だと認識されにくいのかもしれません。

——世耕理事長による大学の政治利用は他にもあるのですか。

藤巻 あります。教職員組合に、〈近大に和歌山出身の職員が多いのは、選挙の時に手伝うことが暗黙の了解になっている〉〈和歌山出身の職員は、選挙の時には一週間ほど有休を取り、世耕の選挙事務所を手伝う〉という匿名の通報が来ているんです。

我々組合は、大学の経営側に実態調査を求めてきましたが、『把握していません』の一点張りです。

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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