習近平が、毛沢東・鄧小平・江沢民に次ぐ
「党中央の核心」となった真相とは。
文化大革命の再来と呼ばれる理由
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
中国共産党の「第18期中央委員会第6回全体会議(第6中全会)」が10月27日に閉幕した。
会議では、習近平国家主席を「党中央の核心」と位置付け採択。
習近平主席が「率先して党の管理強化を全面的に推し進め、党内政治を浄化し、民心を獲得した」とし、
「半腐敗キャンペーン」なる厳しい汚職摘発が「民心を勝ち取った」と最大限に評価した。
中国共産党の歴史においては、最高指導者を「核心」と呼んだ。
これまでその呼称だった指導のは、毛沢東、鄧小平、江沢民の3氏だ。
党中央機関の決定を経て習近平が「核心」となったことで、
習近平は軍事権をはじめとした全権力を掌握したように見える。
2017年秋には党指導部メンバーの交代がある党大会を予定しており、
習近平は人事でも強い主導権を握るのではないだろうか。
習近平氏への権力集中は、毛沢東の個人崇拝が推められた文化大革命の手法に似ていると指摘されている。
「第6中全会」では、集団指導体制を堅持する方針が強調されたが、
中国国内では習氏の個人崇拝を思わせる場面が頻繁に見られるのが現実だ。
その象徴的だった出来事がある。
今年2016年は「文化大革命」から50年となる節目の年だが、5月に北京の人民大会堂で、
「56フラワーズ」なるアイドルグループが文化大革命の頃の歌を熱唱し、
習近平主席を礼賛する舞台が行われ、話題となったのだ……。
文化大革命の手法で大衆を動員・独裁を強化
新中国建国後、最大の政治的厄災は文化大革命だろう。一九六六年から一〇年にわたって全人民を巻き込んだ思想・政治闘争。一言で言えば、毛沢東の嫉妬(しっと)と猜疑心(さいぎしん)から発した権力闘争だが、特徴としては思想闘争を建前にしており、また少年少女を中心に全人民を大衆運動に巻き込んだ。文革一〇年の間に、中国の良心と知識と伝統は破壊されつくされ、経済は停滞し、死者数は二〇〇〇万人以上に上った。とくに迫害の対象となった知識人たちにとっては思い出すことすら忌まわしい記憶である。