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なぜ、ドイツ人は日本に恨みを持っているのか?

ドイツの“反日感情”の源泉は「第一次世界大戦」にある

 「歴史戦」が苦手な日本が、弱肉強食の国際社会の中で生き残っていくためには、冷静に歴史を検証し、他国がどう日本をみているのかを知る必要があります。人気論客二人(高山正之×川口マーン恵美)が語る、日・米・独の歴史。新刊発売記念・短期連載第3回目のテーマは、『ドイツ人の“反日感情”の源泉』です。

ドイツの“反日感情”の源泉は「第一次世界大戦」にある

髙山 青島を日本に落とされただけでなく、第一次大戦ではドイツは他の植民地も取られたよね。

川口 (第一次)世界大戦に負けましたから。

髙山 ドイツが持っていた海外領土は、この大戦でほとんど失った。ある意味では、その後ドイツは、いちばん貧しい時代に落ちこんでしまったということだね。

 現在、イギリスやフランスやオランダが、日本人にある種の憎しみを持っているのは、やはり植民地を日本との戦いで失ったというのが大きな原因だと思う。いままで植民地からの〝上がり〟で豊かに暮らせていたのに、それができなくなったということで、日本に恨みを持った。ドイツはそうした白人たちの先駆者として植民地を失ったわけですから、欧米諸国で「日本への憎悪」をいちばん早く持った国と言える。

川口 そうでしょうか? そんな歴史、まったく知らない人も結構たくさんいるような……。

 でも、たしかにメディアはことごとく「反日」ですね。憎悪まではいかなくても、揶揄とかね。ひどいもんですよ。それから、普通の人もアジア人をちょっと上から見る傾向はありますね。でもそれは、ドイツだけではなく欧米の国すべてがそうでしょう。

髙山 人種的な偏見は絶対にありますよ。その中でも日本に対してだけは、偏見というよりも脅威を感じている。

 第一次大戦時に独外相だったフォン・グレイルは日露戦争時に駐北京大使をやっていたのですが、「日本がロシアに勝った。北京で日本人と支那人が大騒ぎして提灯行列をやって、爆竹を鳴らしている」という報告を本国に送っています。そして「もしこの先、日本人と支那人が協力するようになったら、我々が東洋に持っている権益はものすごい脅威に晒されるのではないか」とも言っているのです。

 ドイツはそれ以前から中国に利権を持っていました。北京に「頤和園」という西太后の別荘があります。西太后の庵があって、そこにはじめて電気を引いたのがドイツ人でした。西太后はそれに感激して、国内すべての電気事業は、ドイツに任せることにしたのですが、ドイツはその他に鉄道についても口を出して、その利権も得た。

川口 確かに、ドイツと中国は昔からものすごく仲がいいですよね。いまもいい。とくに商売でがっちりとスクラムを組む。

髙山 西太后はドイツに終始親切でしたよ。

川口 第一次大戦で植民地を失ったあと、ドイツにとって中国は数少ないアジア進出への足がかりだったのではないかと思います。

 

*『日・米・独―10年後に生き残っている国はどこだ』 高山正之×川口マーン恵美(KKベストセラーズ)より抜粋

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