地産地消の生き方
TPP上陸に備えて改めて問われる「食」問題
「食の国際化は戦争への道である」
「食の国際化」は
経済格差を拡大する
『「食の国際化」は、国内の経済格差を広げるのみならず、国家間の経済格差を広げていきます。
「食の国際化」とは、食料が国際的に売り手市場となることです。食料を輸出する国が多くなれば、競争原理が働き食料は買い手市場になりますが、食料の輸入を望む国が多くなればなるほど、食料輸出国は寡占化され、売り手市場に拍車をかけます。
農産物価格は、関税と輸出補助金の両面から決められるため、実情とは異なり、歪められて低く抑えられています。しかし、関税がなくなれば、輸入量が増加し、売り手市場となります。また、食料輸出国の輸出補助金が削減されれば、輸出量が減少し、需給バランスが崩れ国際価格は必ず高騰します。
食料輸入国は、自国で食料を生産するより、安く買うことができるため、自国の農業を衰退させてしまった結果、食料輸出国の言いなりになるより他に道はなくなります。
特にアメリカは、食料を戦略物資と考えています。他国を支配するためには、戦争で勝利して支配下に置くより、食料を国の財政から支出してでも、安く売って支配する方が安くつくという国家戦略です。
食料をコントロールするだけで他国を支配下に置いた場合は、たとえ支配下に置かれた国が自滅したとしても、国際社会は国際問題にはしませんし、輸出国の国民も国に対して批判することもありません。
理由は「食」を依存する方が悪いと考えているからです。
食料は、文明が造り出した便利な製品とは異なり、毎日食べ続けなければ、生き続けることのできない、経済活動の範疇には収まらない生命維持産業です。
ゆえに、食料輸入に当たり、立派な契約書を輸出国の生産者と交わしても、輸出国の食料生産に問題が発生すれば、国は食料の輸出禁止令を発令し、いかなる契約書も無効となります。
それは、1955年9月10日にわが国が批准したガット(関税貿易一般協定)の第11条2項にて「輸出国で危機的な食料不足が起これば、輸出禁止や規制を行うことを容認する」としていますし、そもそも食料は生産国のもののため、各国が独自に決めています。
食料の輸出国にとって輸出量は、国のさじ加減で決まります。大量に輸出したい場合には、輸出補助金を増額すれば輸出量は増えます。輸出量を減らしたい場合は、輸出補助金を削減すれば必ず減ります。
2001年、当時のブッシュ大統領が教書のなかで「食料自給は、国家安全保障の問題であり、それが常に保証されている国は有り難い。食料を自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国である」と、本音を述べています。
「食の国際化」は、食料の輸出国が政治的にも経済的にも、より強くなり、食料輸入国は、より弱い立場になることで、国家間の経済格差は広がります。
弱い立場になった食料輸入国の国内経済は、一層格差が拡大し、一握りの富裕層と大多数の貧困層という社会構造となり、危険な国へと変貌していくのです』