習近平が日本に迫る強硬姿勢。
尖閣問題が再燃する前に
知るべき中国の戦略とは?
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
この手紙にあるように、中国政府は二〇一二年九月一六日の反日デモの激化を事前に防ぐ手立てをあえて打たず、日系企業や工場、商店の焼き討ち、掠奪といった事態にまで発展したことは記憶に新しい。
あの当時は習近平はまだ政権の座に就いていなかったが、日本に対して弱腰であったがために、尖閣諸島国有化問題が起きたと党長老、軍幹部から責められていた胡錦濤としては、習近平の主張に従わざるを得なかったともいえる。
その後、習近平は、日本の尖閣国有化問題をテコに日米間の亀裂を広げ、日本を孤立させた後に、尖閣周辺で日本を挑発し、偶発的軍事衝突を引き起こし、日本の軍国主義復活脅威に対する国際世論を巻き起こして、尖閣諸島を奪うというシナリオを用意していたようだ。
尖閣諸島周辺でのロックオン事件
習近平政権が発足して間もなく起きた二〇一三年一月の「ロックオン事件」は、まさしくそのシナリオどおりに、習近平が尖閣諸島周辺で偶発的軍事衝突を引き起こそうと狙ったものではないかと、見られている。
これは、一月三〇日に、解放軍海軍フリゲート艦が海上自衛隊護衛艦に対して射撃用火器管制レーダーを照射した事件だ。艦の火器管制レーダーは戦闘機のレーダーと違い、射撃目的で照射されるので、日本政府もこれは攻撃動作だとして公表し、強く中国側を非難した。