人民元の暴落はもうすぐそこだ!
中国経済の空洞化が加速している理由
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
一帯一路周辺国は外貨準備高が相対的に低く、対外経済に対する依頼心が強い。しかも法律水準も低く、貿易投資、協調のメカニズムも不備なところが多い。こういう状況できちんと機能する投資・融資のメカニズムを打ち立てるのはもともと困難である。
しかもユーロの急な下落とドル高予想、および人民元の先行き不透明感が、新興国市場への国際資本の流出入を加速し、国際資金の流動管理がきわめて難しくなっていることが、大きなリスクとなっている、としている。
さらに、一帯一路沿線の国家の市場融資は銀行ローンに集中しており、過剰な銀行ローン依存が融資市場の十分な競争に不利となって融資元本が膨らみ、アジア地域の金融不安定化も招きかねない、という。
こういう状況をAIIBの支援でなんとかしたいところだが、肝心のAIIBはいまだ格付け問題を解決できておらず、機能不全に陥っている。しかもドイツ銀行の経営不振などの不穏な噂を耳にすれば、中国が当初頼りにしようとしていたEU金融もあてにならないどころか、リスクの引き金になりそうな予感が漂っている。
※福島香織著新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』重版記念、緊急集中連載。
著者略歴
福島香織(ふくしま・かおり)
1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。最新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』(KKベストセラーズ)が発売即重版、好評発売中。