『モンハン』開発者が明かす
ヒット作を生むチームワーク術
二重チェックの回避、裁量の分配、メール以外のやりとり、etc.
制作を進める上で、現場が迷うのは「どちらがより良いか」という選択。しかし、そのすべてのジャッジをプロデューサーがするわけではない。
辻本P 僕の裁量は大枠だけですよ。細かいシステムの話はディレクターに任せています。プロデューサーとディレクター、それぞれがジャッジするという“二重チェック”はあまりよろしくないですから。
藤岡D プロデューサーが裁量を持つ部分と、ディレクターが裁量を持つ部分を明確に分けておく必要がありますよね。両者の意見が下りてしまうと、現場でも「ふたりのOKをもらわなくちゃいけないのか」みたいな雰囲気になりますし。
複数のジャッジを仰ぐと、その分だけ進行にもロスが生じる。「複数の上司が異なる意見を出し、現場が板挟みに苦しむ」という状況は、一般企業でもしばしば見られる光景だ。そんな状況を避けるためにも、また現場のモチベーションや作業効率を上げるためにも、裁量権の分配が大切だという。
藤岡D 大所帯の制作チームにおいて、限られた人が1から100まで裁量権を握るのは難しい。今回の『ストーリーズ』もそうですが、ゲームの制作ではプロジェクトにはプロデューサーやディレクターだけでなく、各セクションにもリーダー格がいます。だから、ピラミッド式に彼らにも裁量権を分配していく必要があるんです。
辻本P ひと昔前と比べて、現在のゲームは制作人数が大所帯になることが増えています。それだけに、しっかり現状把握ができる制作の運営もとても重要になってきています。各セクションのコミュニケーションを、いかにディレクターへと集約できるかがポイントでしょう。
藤岡D そうですね。現場が自分の仕事に集中できる環境を整えるのも、ディレクターの重要な役割になるでしょう。