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風俗嬢はまともな恋愛・結婚ができない?

現在観測 第11回

男性は風俗嬢の仕事を理解していない?

「風俗嬢=本番行為(膣ペニス性交)によって対価を得る仕事」と思っている人は多いかもしれません。確かに一部の業種や違法店などでは本番行為が平然と行われています。しかし、大多数の風俗店では性類似行為によってお客様にサービスを提供する形態が主流です。また、「生類似行為」といってもその業種やサービス形態は様々です。これらを知ることで風俗嬢のイメージが全く変わったという男性もいます。

本番行為はダメなのか。性類似行為なら良いのか。見知らぬ男性と二人きりでいることがダメなのか。裸でサービスを提供することがダメなのか。性器露出がない業種でもダメなのか。その価値観は男性によって異なります。

一般社会の人々でもパートナーの仕事を理解していない、パートナーから仕事を理解されないということから恋愛(結婚)が上手くいかないという場合もあります。風俗という仕事だから特別というわけではなく、お互いがきちんと仕事の内容を理解し合えば、風俗嬢との恋愛(結婚)も上手くいくように感じています。

風俗嬢がパートナーに求めるもの

 風俗嬢の仕事が誤解されている、というのは恋愛・結婚問題だけが示していることではなく、社会全体からも誤解をされていると感じる部分です。上記のような誤解が、恋人からだけではなく、家族、友人、知人からもあります。

 それがゆえに自分では仕事を肯定的にとらえていても周りの人に仕事の話が出来ないというジレンマを抱える風俗嬢がたくさんいます。常に秘密を抱える人生というのはとてもストレスが大きく、孤独を抱えます。

 なかには、他人との長期的な関わり合いを求めず、プライベートは一人でいたいと望む風俗嬢もいます。現に人生で一度も恋人を作ったことがない人もいます。しかし、多くの風俗嬢は、孤独から脱却したいと思っています。自分を認めてくれる人と愛し合える関係を求めて、恋愛や結婚を望んでいるのではないのでしょうか。

素敵なパートナーとして

 風俗嬢の仕事は、決められた時間(40分~90分が主流)の中で、お客さんの性的興奮を高め快楽に導くものですが、身体だけではなく心もイカせる仕事です。接客とサービスと情緒を提供する仕事で、「感情労働」と言われるまさに瞬間恋愛のプロフェッショナルとも言えます。

 また、いかにお客さんに再来店してもらうかが重要な「指名産業」でもあります。それは風俗嬢にとっては、心のつながりや、共感、人間関係の喜び、相手を満たしたり喜ばせる楽しみを知ることでもあります。

 風俗嬢は、性的なことだけではなく、不意にドキッとさせる恋愛的手腕や、疲れた男性の心をホッとさせる癒しの力、様々な人の出会いによって蓄積された知識や知恵を持っています。パートナーにとっても、風俗嬢は男性を元気づけるプロフェッショナルとして尊敬できる存在なのではないでしょうか。

 人は不幸になるために生きているのではなく、幸せになりたいと思って生きていると思います。何をしているか?ではなく、どうなりたいか?という、その人の気持ちを尊重する関係性を持つことで豊かな人生が営めるのだと思います。風俗嬢だから特別視するのではなく、風俗嬢が生きやすい社会環境はだれもが生きやすい社会になると常に思っています。

最後に

 私の視点はあくまでも個人から見えたこと、これまでに出会った風俗嬢達を見て感じたことであり、すべての風俗嬢を代表しての発言ではないということをご理解ください。

「風俗嬢だから」という理由で生じる問題は、外野からの誤解によって生じることが多い問題でもあります。風俗嬢の気持ちに向き合い、その存在を認めることで大きく変わることがあります。風俗嬢が生きやすい環境を一緒に考え、少しでも風俗嬢フレンドリーな人のいる日本であることを願います。

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水嶋 かおりん

みずしま かおりん

1983年生まれ。山梨県出身。風俗嬢兼風俗嬢講師。

2013年に独立し、愛情工房☆性戯の味方☆設立。「セックスワーカーの生きやすい社会がみんなにとって生きやすい社会」という理念のもと、精力的に社会活動を行う。セクシュアル・コンタクト、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ(性の健康や権利)についてのNPOサポーター活動、ワークショップ、ニコニコ生放送、講演、執筆など幅広く活動中。著書に『風俗で働いたら人生変わったwww』(コアマガジン、2015年)、『私は風俗嬢講師』(ぶんか社、2009年)。


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