中国のドナルド・トランプとは誰か。
習近平政権を批判しつるし上げに…
その顛末と権力闘争の中身
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
彼らが任志強バッシングの体を借りて王岐山攻撃を始めた、あるいは習近平と王岐山の間に亀裂を入れようとしている、というのが中国政治ウォッチャーの見立てであった。
この任志強バッシングを受けて北京市西城区党委員会は任志強に対して党籍剝奪処分などを行おうとしたのだが、王岐山は二月二八日、汚職Gメンこと中央規律検査委員会巡視隊を中央宣伝部に派遣し突然の〝ガサ入れ〞を行って、中央宣伝部およびメディアを黙らせる。
そして三月一日付の中央規律検査委機関紙「中央規律検査監察報」上に「千人が唯々諾々と語るより一人の士の諤々とした発言のほうが勝る(千人之諾々、不如一士之諤々)」と題した社説を発表させるのである。
王岐山が任志強を擁護し、習近平を批判
タイトルにある〝一士〞が任志強を指していることは間違いなく、中央規律検査委、つまり、王岐山は習近平礼賛メディアを批判する任志強を表立って擁護したことになる。
三月三日には人民日報が「ある指導者はメンツを失うのを恐れ、群衆の批判の言葉を聞こうとしない」という題の論説を掲載。この〝ある指導者〞は明らかに習近平を指し、中央規律検査委巡視隊の進駐を受けて、中央宣伝部が王岐山批判から習近平批判に転じた、という見方ができる。つまり王岐山の圧力で、中央宣伝部が習近平批判に転じたということだ。