中国のドナルド・トランプとは誰か。
習近平政権を批判しつるし上げに…
その顛末と権力闘争の中身
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
この一連の事件は、中国のネット上で〝十日文革〞と呼ばれた。習近平が中央メディアに乗り込んで個人崇拝キャンペーンの一環である「メディアの姓は党」キャンペーンが始まった二月一九日から、王岐山の指示で中央規律検査委員会の汚職Gメンが党中央宣伝部に進駐し、任心強バッシングを終わらせるまでの間がおよそ十日だったからだ。
メディアを使って習近平個人崇拝を展開し、習近平は一気に毛沢東的な絶対権威の地位を築く腹づもりだった。毛沢東の文革は十年続いたが、習近平の〝文革〞は、任志強(あるいはそのバックの王岐山)に阻まれ、十日で終わった。だから一部知識人や体制外メディアは任志強事件は「習近平の十日文革」と揶揄(やゆ)したわけだ。
※福島香織著新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』重版出来、Amazon中国情勢ジャンルランキング1位(2016.11.11現在)記念。本文抜粋。
著者略歴
福島香織(ふくしま・かおり)
1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。最新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』(KKベストセラーズ)が発売即重版、好評発売中。