基礎から学ぶ!「コロナウイルス」って何ですか?【岩田健太郎教授・感染症から命を守る講義②】
命を守る講義②「新型コロナウイルスの真実」
感染症から命を守るための原理原則は、変わらない。この原則を体に染み込ませる決定版。
感染症専門医の第一人者・岩田健太郎神戸大学病院感染症教授の最新刊『新型コロナウイルスの真実』をもとに現在の感染者が急増する緊急事態に対し、私たちが「今、できる対策」を連続講義いただいた。「新型コロナウイルス感染症」から自分と家族、人々の命を守るために、今、私たちは何をすべきか。第2回目は、コロナウイルスとは何かについて学びます。
■そもそも「ウイルス」って何ですか?
さて、コロナウイルスについて知ってもらう前に、そもそも「ウイルス」とは何でしょうか。
じつはウイルスを厳密に定義しようとすると非常に難しいのですが、ざっくり言うと「他の生物の細胞の中に入らないと生きていけない微生物」ということになります。
ウイルスと菌は、よく混同されることがありますね。ウイルスと菌の間で何が違うかというと、じつはこれも厳密に議論するとなかなかややこしい問題なんです。
けれどもざっくり言えば、ウイルスは「抗生物質が効かない」もので、菌は「抗生物質で殺せる」ものと捉えていただければ、一般の方でしたら問題ないと思います。
■「コロナウイルス」って何ですか?
今回問題になっているウイルスは「新型コロナウイルス」と呼ばれています。新型が出てきたということは、これまでに旧型があったということですよね。「旧型のウイルス」というのも変ですから、要するに、以前から知られていた「従来のコロナウイルス」が存在するということです。
そこで、新型コロナウイルスを知る第一歩として、まずは従来のコロナウイルスについて既に分かっていることを押さえておきましょう。
コロナウイルスの「コロナ」というのは、もともとは「冠」のような意味合いです。電子顕微鏡で見ると、周りに冠状のギザギザが付いた形をしているので「コロナウイルス」という名前が付いています。
従来知られていたコロナウイルスは4種類。ざっくり言うと、普通の風邪の原因となるウイルスです。風邪の原因は多様で、他にもライノウイルスなどが知られています。
以前から知られていた、普通の風邪の原因としてのコロナウイルスが引き起こすのは、くしゃみ・鼻水・鼻づまりや微熱が出たりといった一般的な風邪の症状で、普通は安静にしていれば自然に治ってしまいます。
よく、風邪で病院に行くと抗生物質を処方されますが、先に述べたとおりウイルス感染には抗生物質は効きません。つまり風邪には抗生物質が効かないんです。「風邪を治す」という意味での風邪薬は存在しなくて、薬にできるのは、くしゃみを止めたり、鼻水を止めたり、咳を止めたりなどの対症療法だけです。
風邪そのものは自然に治るのを待つしかない、そして、たいていは自然に治ってしまう、というのが従来のコロナウイルスでした。
(「新型コロナウイルスの真実③」へつづく)
【注】本書『新型コロナウイルスの真実』は現在、発売即重々版(3刷)となりましたが、書店の休業などで「お手元に届かない」との多くの皆さまからお問い合わせが入っております。最新刊でありますが、本書の第1章と第2章を「全文再編」連載という形で、皆様にお届けいたします。著者・岩田健太郎先生のご厚意により、最適な感染症対策への一助となるように専門家として何度もお読みいただけるようにとご配慮いただきました。皆様やご家族、多くの方々の安全を祈念申し上げます。なお全国の書店で配本されていますが、くれぐれも「外出」の際は感染経路と感染の知識を踏まえ、ご行動されることを衷心よりお願い申し上げます。
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岩田健太郎医師の最新著書『新型コロナウイルス』は現在、ネット書店で手にいれづらくなっております。こちらで購入が可能です
【URL】https://bestsellers.official.ec/items/28385984