ピカッとバットが光った。「さすが“天才”だ」……山本昌現役32年でもっとも忘れられない勝負
名選手と数々の対決をしてきた山本昌。投げた瞬間にベストピッチだと思ったボールを……
Q.記憶に残る名勝負とは?
名勝負と言えるほど皆さんの記憶には残っていないと思いますが、対戦して「やっぱりすごいバッターだな」と改めて感じた選手が、広島の前田智徳選手でした。
前田選手に打たれたことは一度や二度ではありません。野球ファン、特にカープファンのなかでも鮮明に残っているとすれば、彼が左足アキレス腱手術から復帰した2002年4月5日の試合で打ったホームランでしょう。前田選手の復帰第1号を許したのが、何を隠そう私だったのです。
ただ、私が前田選手を「すごいな」と感じたのは、この試合ではありません。
忘れもしない1998年5月20日。場所は浜松球場でした。1対2の3回、先頭の笘篠賢治選手にホームランを浴び1対3とされたところで前田選手を迎えました。2ストライクを追い込んでからのストレートは、自分で言うのもなんですが、投げた瞬間に球筋を見て「よし、三振だ」と確信を持てるほど完璧なボールでした。
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