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ピカッとバットが光った。「さすが“天才”だ」……山本昌現役32年でもっとも忘れられない勝負

名選手と数々の対決をしてきた山本昌。投げた瞬間にベストピッチだと思ったボールを……

Q.記憶に残る名勝負とは?
 

 

 名勝負と言えるほど皆さんの記憶には残っていないと思いますが、対戦して「やっぱりすごいバッターだな」と改めて感じた選手が、広島の前田智徳選手でした。

 前田選手に打たれたことは一度や二度ではありません。野球ファン、特にカープファンのなかでも鮮明に残っているとすれば、彼が左足アキレス腱手術から復帰した2002年4月5日の試合で打ったホームランでしょう。前田選手の復帰第1号を許したのが、何を隠そう私だったのです。

 ただ、私が前田選手を「すごいな」と感じたのは、この試合ではありません。

 忘れもしない1998年5月20日。場所は浜松球場でした。1対2の3回、先頭の笘篠賢治選手にホームランを浴び1対3とされたところで前田選手を迎えました。2ストライクを追い込んでからのストレートは、自分で言うのもなんですが、投げた瞬間に球筋を見て「よし、三振だ」と確信を持てるほど完璧なボールでした。

 

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山本 昌

やまもと まさ

1965年8月11日、東京都生まれ。神奈川・日大藤沢高から83年秋のドラフト5位で中日ドラゴンズに入団。プロ5年目、88年の米国への野球留学をきっかけに飛躍し、同年8月プロ初勝利。以後はスクリューボールを武器に活躍する。93年に最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得すると、翌94年には連続最多勝利と沢村賞に輝く。97年にも最多勝利。2006年9月16日対阪神戦でプロ野球史上最年長の41歳1カ月でノーヒットノーラン、08年8月4日の巨人戦で史上24人目となる通算200勝を樹立。通算581試合に登板し219勝165敗。


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