「ブーイング」に対して選手はなにを感じているのか。その是非を問う――岩政大樹・現役目線
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■サポーターから尋ねられた「ブーイングした方がいいですか?」
鹿島アントラーズとファジアーノ岡山。僕はふたつのJリーグクラブに所属しました。実はこのふたつのクラブに似た点を感じてクラブを選んだところもあるのですが、当然ながら違う点もあります。そのひとつがサポーターのあり方でしょう。
鹿島アントラーズのサポーターは燃えるように熱く、チームがふがいない戦いを見せたときには容赦ないブーイングが飛びます。
一方、ファジアーノ岡山のサポーターは包み込むように温かく、基本的にはどんな時も選手にブーイングを向けることはありません。
これは大きな違いとしてファジアーノのサポーターの皆さんも認識していて、「選手のために自分たちはどうあるべきですか? ときにはブーイングをすることも必要でしょうか?」という質問をたまに受けるので、選手の目線からどのようにサポーターの皆さんを感じているか、お話したいと思います。
まず、絶対的な事実として、僕たち選手はサポーターの皆さんと一緒に戦っています。綺麗事でもなんでもなく、僕たちの歩みはサポーターの皆さんと共にあります。
応援する側とされる側といった、あちら側とこちら側という関係というより、僕たちは同じ側にいて、時には背中を押されたり、横で「もっと前へ!」と煽られながら、共にシーズンというレースを走っています。この感覚は僕だけでなく、ほとんどの選手が持っているはずです。少なくとも、長くプレーしている選手たちはみんなそう思っているはずです。僕たち選手はサポーターの皆さんと生き、生かされているということをキャリアを通して知っていくからです。
さて、ブーイングをすべきか否かという問いです。ブーイングをすることもある鹿島サポーターとブーイングをしない岡山サポーター。どちらが選手のためか。