怒らなかった現役時代。「だから、たまに怒ると効果があった」山本昌、理想の上司像。
尊敬されるベテランはどのように若手と付き合ってきたのか
■年下の人たちに迎合するのもよくない
ただし、我々世代は年下の人たちに迎合してはいけないと思います。注意はしっかりしたほうがいい。「怒る」ではなく「注意」です。
私は現役時代、よく「山本さんって怒らないですよね」と言われていました。実際に後輩を怒ったことはありません。野球選手の場合は特殊かもしれませんが、自分たちは同じチームでプレーしていながら、あくまでも「個人事業主」です。結果が伴わなければクビになりますし、そうなればいくら親身に指導してくれたコーチや先輩でもどうすることもできません。すべては自己責任。だから、怒らなかったこともあります。
でも、いくら個人とはいえ、チームという組織のなかで働いているのは紛れもない事実です。ですから、チームの和を乱すようなことがあれば注意はしました。
わかりやすいところで言うと、髪型や遅刻など、本当に一般的な規則です。茶髪にした、寝坊が多い。そういう選手がいれば、私は「プロ野球選手がそんなことしたらダメだろ」と、くぎを刺したことは結構ありましたね。めったに怒らない私ですから、後輩たちは「やばい。山本さんを怒らせた……」と少しは反省してくれたんじゃないでしょうか。小言を言いすぎると「また、言ってるよ」と陰口を叩かれ効果も薄れてきますから、私なりにタイミングを見計らって言っていたつもりです。
少し偉そうになってしまいましたが、私自身、指導者の経験はありませんし、企業でも上司になったこともありません。なので、若手世代の接し方については、むしろ私のほうが、社会の最前線で戦う同世代の中間管理職の方々に話を聞き、勉強させていただきたいくらい、というのが正直な気持ちです。
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