今や世界でも当たり前?点字ブロックはある日本人の信念から生まれた
世界150カ国以上に広がる安全の道標
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点字ブロックは友人のために何とかした思いから生まれた!
今や街の風景の一部として認識されている「点字ブロック」。
逆にあのボコボコが道路にないと違和感を覚えてしまうくらい、あるのが当たり前の存在となっていますが、これを開発したのは日本人だということを知っている人がどれだけいるでしょうか。
その人の名は、三宅精一。
彼は岡山で旅館業を営んでいましたが、発明家としての一面ももち合わせており、とくに交通関連の特許を多く得ていました。
そんななか、家族ぐるみで付き合っていた友人の視力が低下し、歩行が困難になったため「なんとかしたい」という思いから、点字ブロックを考案、開発したのです。
そして1967年に、岡山県立盲学校近くの国道の歩道に敷設されたのが最初になります。
その後、東京都道路局安全施設課に採用されたことによって、全国への普及が加速度的に進みました。
また、早くから世界盲人福祉協議会で各国の専門家に紹介されていたこと
もあり、現在では150カ国以上の国々で採用されています。
しかしながら、普及までの道のりはけっして平坦なものではなかったそうです。
全国の自治体や関係省庁に資料を送ってもなしのつぶてでした。
それでも三宅氏は私財を投げうって全国を回り、点字ブロックの普及活動を行っていきました。
途中、資金不足により挫折の危機もあったといいますが、彼は信念を曲げず辛抱強く耐え、そして今があるのです。
2012年には、懸案であった点字ブロックの国際基準が日本のJISを基にしたものに統一され、世界への普及がさらに広がっているといいます。
三宅氏の〝やさしさ〟が世界の街並みに溶け込む日も、そう遠くないことでしょう。