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3分で分かるトレンドワード【大型台風】9割の日本人が誤解している台風予報図の見方

【大型台風】をNHK気象キャスター、斉田季実治氏が徹底解説②

●予報円の中心=「台風の中心、台風が必ず通る」は大きな間違い!
 

トオル…あと気になるのは「強風域」と「暴風域」はどこに当たるんですか?

斉田…台風経路図のことですね。いい質問です。「強風域」は黄色い円で、「暴風域」はそれよりも小さい赤い円で書かれていて、暴風域は特に警戒が必要な範囲です。台風の進路予報の見方って理解していますか? あの、どんどん大きくなって進んでいく白い円を予報円と言いますが、あれは時間が経つと台風の強さが大きくなっていく、という意味ではないんです。

トオル…えっそうじゃないんですか? てっきり勢力が増していくものだと思ってました。

斉田…予報円が示すのは、「あの円の“どこか”に70%の確率で台風の中心が入りますよ」ということだけ。台風予報というのは“アンサンブル予報”という手法をとっていますが、これは一個の計算から一個の確実な答えを導く、というやり方ではなく、初期値を少しずつずらしながら25通り計算をするんです。その「ブレ」を見ながら大まかな円を作る、というやり方です。

 当然その予想は、先の予想であればあるほどあいまいになりますよね? だから12時間後の予報円よりも24時間後の予報円、48時間後の予報円と、どんどん不確実性が増すので可能性を広くとっておく、ということで円も広くなっていくのです。

シズカ…私、てっきり円が大きくなる=勢力が強くなるということだと思ってたわ。

斉田…うーん、確かに紛らわしいかもしれません。台風の進路予報の見方というのは結構、誤解されているところが多いんです。例えば、円の中心に点が打ってあるのを見かけると思うのですが、いまのことを知ると、これは台風の中心でもなんでもないことがわかります。

トオル…ほんとだ……。

斉田…円の中心=台風の中心ということ自体が誤解ですからね。つまり、たとえば12時間後の予報円の中心に東京があるからといって、12時間後に台風の一番強い所が東京を通るとは限りません。ひょっとしたら東京に来ない可能性だってあるわけです。手前味噌ですが、NHKではこうした誤解を招かないためにも円の中心に点は打っていません(笑)。

斉田 季実治

さいた きみはる



1975年東京生まれ。北海道大学で海洋気象学を専攻し、在学中に気象予報士資格を取得。



北海道文化放送の報道記者、民間の気象情報会社などを経て、2006年からNHK気象キャスター。



現在は「ニュースウオッチ9」に出演中。ツイッター(https://twitter.com/tenki_saita?lang=ja)でも、



日々気象情報を発信中。


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