『コップのフチ子』は水槽の話から生まれた!?
販売累計1100万突破! 大ヒットカプセルトイ誕生のウラ話
リアルのコミュニケーションにおいて、古屋氏が重視するのは“雑談”だという。タナカカツキ氏と初顔合わせとなった打ち合わせでも、具体的な仕事の話はせずに雑談が中心だった。
「カツキさんの事務所にすごく立派な水草水槽があったんです。それが打ち合わせ中に気になっちゃって、『カツキさん…もう我慢できません…。あの水槽、見に行ってもいいですか!?』と正直に打ち明けたら、カツキさんも喜んで説明してくれました(笑)。あとから聞いた話ですが、カツキさんも初めての仕事相手とは意識的に雑談するそうです。雑談が弾む人とは、良い仕事ができることが多いみたいです。だから、その日は仕事の話をほぼしていません。『とりあえず、何か考えておいてください』程度だったと思います(笑)」(古屋氏)
もしも、古屋氏がビジネスライクに打ち合わせを進めていたら……。果たして『フチ子』は誕生していただろうか? その答えは分からない。だが、古屋氏は「雑談」について語る中で、次のように続けた。
「大切なことって、余分なところにあると思うんですよ。余分な時間を設けないと、本当のことが出てこないんじゃないかな?」(古屋氏)
『コップのフチ子』誕生のヒントが雑談に隠されていたのかは分からない。だが、生みの親であるタナカカツキ氏も、世に送り出した古屋氏も、奇しくも両者は雑談を大切にするタイプだった。「誰からも愛されるコミュニケーションツール」は、リアルのコミュニケーションを大切にする2人から生まれた。少なくとも、これだけは事実である。