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ヤマト建国の謎、物部氏はどこからやってきた?

黎明期のヤマト建国を考察する ●シリーズ⑤地形で読み解く古代史重要地点

 物部氏は、ただの古代豪族ではない。

『一冊でわかる イラストでわかる 図解古代史』( 成美堂出版、2013)参考。国土地理院・色別標高図を基に作成

 ここで注目しておきたいのは、ヤマト建国の象徴となった前方後円墳のことだ。いくつかの地域の埋葬文化が寄せ集められて、あの独特な墳墓が生まれたのだが、吉備の影響力がもっとも強かった。

 前方後円墳の原型は、まず吉備に出現していたのだ。

▲吉備津神社(岡山市北区)

 ヤマト建国の直前、吉備に楯築弥生(たてつきやよい)墳丘墓(岡山県倉敷市。双方中円式(そうほうちゅうえんしき)墳丘墓)が出現していたが、これは円形の墳丘の左右に方形の出っ張りが付け足されたもので、片方の出っ張りを削れば、前方後円墳になる。

 また、楯築弥生墳丘墓の墳丘上では、特殊器台(とくしゅきだい)形土器と特殊壺(つぼ)形土器が並べられたが、この土器も、前方後円墳で採用されている。物部氏の本拠地・八尾市でみつかったのが、この吉備の特殊器台形土器だ。

 物部氏が吉備出身で、しかもヤマトの祭祀の中心に立っていたにちがいないのである。

地形で読み解く古代史』より

 

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関 裕二

せき ゆうじ

 



1959年生まれ。歴史作家。仏教美術に魅了され、奈良に通いつめたことをきっかけに、日本古代史を研究。以後古代をテーマに意欲的な執筆活動を続けている。著書に『古代史謎解き紀行』シリーズ(新潮文庫)、『なぜ日本と朝鮮半島は仲が悪いのか』(PHP研究所)、『東大寺の暗号』(講談社+α文庫)、『新史論/書き替えられた古代史』 シリーズ(小学館新書)、 『天皇諡号が語る 古代史の真相』(祥伝社新書)、『台与の正体: 邪馬台国・卑弥呼の後継女王』『アメノヒボコ、謎の真相』(いずれも、河出書房新社)、異端の古代史シリーズ『古代神道と神社 天皇家の謎』『卑弥呼 封印された女王の鏡』『聖徳太子は誰に殺された』『捏造された神話 藤原氏の陰謀』『もうひとつの日本史 闇の修験道』『持統天皇 血塗られた皇祖神』『蘇我氏の正義 真説・大化の改新』(いずれも小社刊)など多数。新刊『神社が語る関東古代氏族』(祥伝社新書)



 


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