安倍政権を支える「ネット世論」の害悪。
宮崎謙介、武藤貴也、上西小百合…
なぜ公募議員はクズが多いのか?
人材不足の最たる分野が「政治家」だった。
作家・哲学者の適菜収が「安倍政権の無能と欺瞞」を討つ批判の毒矢
ネット世論と自民党
一番怖いのは「慣れ」
ネット世論に判断を委ねてよいのか。
ダメである。
本来ならその一言で終わる話だ。
しかし、わが国の現状はどうか?
自民党は二〇一六年夏の参院選比例区の公認候補をインターネットで公募し、さらに、ネット投票で一人に絞り込んだ。
問題はこれを異常と感じない人間が増えていることだ。多くのメディアは、「若者の声が反映される」「政治が身近になる」「地盤、看板、鞄の政治からの脱却」などともてはやしていた。
一番怖いのは「慣れ」だ。どんなに異常な事態が発生しても、慣れてしまえば目に入らなくなる。
たとえば、久本雅美や柴田理恵がテレビ画面に登場したとき、誰もが違和感を覚えたはずだ。彼女らは当初「衝撃的なブス」という役割を引き受けていた。しかし、今では頰紅を塗り、それなりにテレビ画面に収まっているのである。彼女らが変わったのではない。視聴者の目が慣れたのだ。
自民党のネット公募「オープンエントリー2016」は、多様な人材の発掘と若者の取り込みを目的として企画されたという。ネット投票の対象は、四五八人の応募者から書類審査と面接で絞り込まれた一二人。この「ファイナリスト」のうち、最も多くの票を集めた五二歳の冴えない男が、比例代表候補として公認された。この男、かつては「東京プリン」というコミックバンドをやっており、二〇一三年七月の参院選では自民党の比例区から出馬し、落選している。