日本は「尖閣」を半世紀以上は実効支配するべき。
なぜ尖閣は死守すべき領土なのか?
その地政学的な重要性について福島香織氏は語る。
中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」
日本が尖閣を半世紀以上実効支配すれば……
国際社会に尖閣諸島が日本の実効支配地であるということを広く確認させること。
これは外交の仕事であり、また民間のメディアや学者の仕事でもある。八月の事件においては米国が尖閣における日本の施政権を確認するコメントを出しているが、他の国にも、尖閣が日本の揺るぎない実効支配地であるということを確認してもらうよう、官民両方のレベルで働きかける必要がある。
とくにこれをロシアなどに発言させれば、影響力は大きい。習近平政権はずっとロシアに「釣魚島が反ファシスト世界戦争の勝利のたまものであり中国の領土であること」を確認させるコメントを引き出そうと働きかけているがプーチンはなかなか駆け引きがうまく、中国の本当に望むキーワードは言わない。日本は外交戦略としては、ロシアを中国から離反させるように動くべきだろう。
ロシアと中国は二〇一六年夏の段階で、いちおう蜜月を演じているが、中国の一帯一路構想においても、南シナ海実効支配戦略においても、じつは中国とロシアは利害が対立する部分もある。南シナ海においては、ロシアはベトナムとの友好関係が深く、ベトナムが中国に対して戦争も辞さない強気な姿勢を崩すことがないのは背後にロシアがいるからだ。ロシアもベトナムを窓口にASEAN諸国との関係を開拓していこうとしており、とくに高額の武器を売り込みたいようだ。
中国は国際社会に釣魚島が係争地であると政治宣伝しているが、日本はこれに対し、尖閣諸島に対して半世紀近くの間、安定した実効支配を続けてきたことを国際社会に認識させなければならない。そのうえで、中国の侵略的行為が一方的に地域の平和を棄損するものであることを世界に向けてきちんと発信する。国際環境を整えれば、経済的な制裁措置も海警行動もとりやすくなるだろう。