お正月の暴飲暴食でメタボ腹…どうして「糖質」を摂ると太るのか
糖尿病専門医・牧田善二氏が、巷に広がる「糖質制限」の誤解を解く!!
◆「糖質」にもいろいろある
糖質制限がダイエットや血糖値コントロールに効果があるということを、知っている人は増えた。しかし、「どうして効果があるのか」を本質的に理解している人は多くない。
そもそも「糖質制限」という表現自体、最初はいろいろ誤解を招いた。「甘いものを摂らないようにすればいいのでしょう」と考える人が多かったのだ。しかし、甘くないものにも糖質はたっぷり含まれている。例えばご飯やパン、麵類などの主食がそうだ。
ここで、「糖質」について、一通りおさらいしておこう。ちょっと堅苦しい話になるが、我慢しておつき合いいただきたい。
まず、「糖質」には、次の四つの形がある。
1.単糖類
ブドウ糖と果糖がこれにあたる。血糖値とは、これらが血液中にどれだけあるかを示している。
2.二糖類
単糖が二つ結合したもので、代表的なのが砂糖。乳糖も二糖類だ。
3.オリゴ糖類
単糖が三~一〇個程度結合したもの。
4.多糖類
単糖が一〇個以上結合したもの。ご飯、パンの糖質は多糖類である。
ここで、「多糖類というのは、単糖類よりも糖分が多いの?」と考えてしまう人もいるかもしれない。そうではない。あくまで分子構造を表しているにすぎない。
血糖値を上げるなど悪い作用について、結論から言うと、「簡単に単糖類に分解される構造のもののほうが悪い」ということになる。つまり、多糖類であるご飯やパンは分解に時間がかかるから、糖質の中ではいいほうなのだ。
一方、とくに過剰摂取の問題を引き起こしやすいのが、単糖類と二糖類だ。これらは、摂取するとすみやかに腸から吸収される。そして一気に血糖値が上昇し、インスリンが分泌される。そのため過剰に摂取すると膵臓を弱らせ、糖尿病になりやすい、という危険性がある。なかでも砂糖は、単糖類であるブドウ糖と果糖が結合した形になっており、最悪と言える。
砂糖がたっぷり入った清涼飲料水などをがぶ飲みすれば、すぐにブドウ糖と果糖が血中に溢れ血糖値は一気に上がる。
多糖類も、最終的にはすべて単糖類であるブドウ糖に分解される。ただし、分解に時間がかかるため、食べてからの血糖値の上昇やインスリンの分泌は比較的穏やかだ。