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めでたい新年の始まりに!正月の縁起物

破魔矢、福笹、木うそ・・・どう扱うのが正しい?

縁起をかついで福の多い一年を!

 年の初めにめでたい縁起物を授与し、縁起のいい行事を行う神社は多い。縁起物とは、飾っておくと神仏の加護が得られ、縁起がいいとされているもの。おなじみのだるまや招き猫、門松や注連飾りなども縁起物だ。
 全国各地の神社で、よく扱っているのが破魔矢。魔を破る魔除けの飾り矢である破魔矢は、年頭に弓を競って作況を占う年占神事などに由来する。

「特に厄年の初詣には、破魔矢を受けて祀り、魔が入ってこないようにするとよいですね。近年は少なくなりましたが、新築の家の上棟式でも、隅の魔を払うために四方に破魔矢を放つという建築儀礼が行われます」と國學院大學神道文化学部准教授の藤本頼生さん。

 また、えびす様をご祭神とする関西の神社では、毎年1月に十日戎が行われ、縁起物の福笹が授与される。笹は、常緑で生命力があり、まっすぐ伸びる姿が縁起よいとされてきた。

「私は学生時代に神戸の生田神社でお手伝いをしていたので、1月の『生田えびす』に出されるえべっさんの福笹はなじみ深いですね。賑やかなお囃子や『商売繁盛で笹持ってこい』のかけ声も、新年の風物詩です」。

 ほかにも天神様の木うそや群馬県少林山達磨寺の福だるま、京都八坂神社の粥杖、熱海來宮神社のまゆ玉など、正月限定の授与品はいろいろある。こうした縁起物は、1年間祀った後はお焚き上げをしてもらい、新しい年には新しい縁起をかつぎたいものである。

福笹

【どう扱う?正月の縁起物】

破魔矢・・・元気な成長を祈って子どもに贈る
江戸時代から明治時代の初めにかけて、男の赤ちゃんの初正月のお祝いとして、破魔弓と呼ばれる飾り物の弓矢を贈る風習があった。それが破魔矢だけになり、神社で授けられる縁起物に。魔を払いたい方向に矢の先を向けて、神棚などに祀っておくとよい。

福笹・・・西日本でおなじみの商売繁盛の縁起物
兵庫の西宮神社、大阪の今宮戎神社など主に関西の神社が、毎年1月9〜11日に開催される十日戎に授与する福笹。孟宗竹の枝に、吉兆と呼ばれる縁起飾りやお札を付け、商売繁盛を願う。笹の正面が南か東を向くようにして、神棚など高く清浄な場所に立てて祀る。

木うそ・・・前年の災いを“嘘”にする木彫りの鳥
主に1月7日か24・25日に行われる鷽替え神事の際、「替えましょ、替えましょ」のかけ声のもと、互いに交換する木彫りの鳥が木うそ。前年についた嘘を天神様の誠心に替え、災いを吉に取り替えるという意味がある。その後、木うそは一年間神棚に祀っておく。

熊手・・・どう飾るとよい?
関東を中心に、毎年11月の「酉の市」で売られる熊手も縁起物。「かっこめ」とも呼ばれ、家内安全や商売繁盛などの「運をかき集める」という縁起をかつぐ。玄関の少し高い位置に、福を取り込みやすいよう、入り口に向けて飾るとよい。部屋の中に飾る場合は、北以外の方角に向けるとよい。

 

藤本頼生さん
國學院大學神道文化学部准教授、國學院大學研究開発推進機構研究開発推進センター准教授を兼担。茨城県橿原神宮権禰宜も務める。97年から11年3月まで、神社本庁に勤務。著書に『神社と神様がよ~くわかる本』(秀和システム)ほか。

※一個人1月号

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