「譲位」は当然? 海外王室で近年行われた譲位の実例
2017年1月6日発売『象徴天皇「高齢譲位」の真相』より、海外王室の実例を紹介
他の王室でも進む高齢化の問題点
それに対して、終身在位を原則としている王国も少なくありません。とくにイスラム圏の中東諸国では、ほとんどそうです。ただ、そのために、クエートでは、2006年1月に77歳で即位したサバーハ首長が現在87歳、またサウジアラビアでは2015年1月に即位したサルマン国王が今年80歳、さらにオマーンでは1970年に父王を追放して即位したサイード国王が現在76歳など、かなり高齢化が進んでいます。
現在(2016年末)最高齢は、イギリス(正式にはグレートブリテンとノースアイランドの連合王国=UK)の女王エリザベス二世(90歳)です。1952年に父ジョージ六世の急逝により26歳で即位し、翌年の戴冠式で「生涯をかけて統活する」と宣言して以来64年目(英国史上最長)、今なお元気に活躍されています。ただ、長男のチャールズ皇太子が68歳、長男のウィリアム王子が34歳ですから、この先どのように王位が継承されていくことになるのか、気に懸るところです。
なお、大英連邦に加盟している南太平洋のトンガ王国では、2006年9月、トゥボウ四世(89歳)の崩御により長男のフポウトア皇太子(58歳)が王位を継承してトゥボウ五世となりましたが、6年後の2012年3月急逝したことにより、弟のラバカ皇太子(52歳)が即位してトゥボウ六世となりました。これは終身在位により超高齢となった国王の後を高齢に近い後継者へ世襲することの難しさを如実に示しています。
もう一つ、タイ王国では、1946年6月ラーマ八世(20歳)の急逝により即位した弟のプミポン・アドウンラヤラート(比類なき権威)と称されるラーマ九世(18歳)が即位し、世界最長の70年余り在位記録を更新してきました。しかし、つい最近、2016年の10月13日、88歳10ヶ月で崩御されたので、
34年前から後継者に指名されていた長男のワチラーロンコーン皇太子(64歳)が、12月1日、ラーマ十世として王位を継承されました。
ただ、この新国王は、最初の王妃との間に生まれたのが王女(38歳)です。また2人目の王妃が4人の王子と共に米国へ移って王族籍を剥奪されています。さらに3人目の王妃とは2年前に離婚しましたが、その間に生まれた王子(
11歳)がいますので、次の皇太子に立てられるとみられます。なお、かつて前国王は、娘のシリントン王女(61歳、独身)への継承を望んでいたともいわれています。
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