あおむろひろゆきのてくてく子育て日記〈第23話〉「ていねいな暮らし」
4人生活が始まったあおむろ家はてんやわんや
出産後の入院生活を経て、妻と赤ちゃんが家に帰ってきました。しみじみと感傷にふける暇もなく、ワーワーと大騒ぎの4人生活が始まります。本当にもう、毎日ドタバタ。
一度しかない人生、目の前を過ぎると戻らない時間。だから日々を大切に生きる。そんな言葉をこれまで何度聞いたか分からない。自分にも丁寧な暮らしをしようと心がけていた時期があったけど、実際これが難しいものです。というか、絶対無理。無理すぎ。
朝起きて、時計を睨みながらパンを食べて、ああ、もう家を出ないといけない時間。朝早い時間の保育所は戦々恐々としていて、みんな怖い顔をしている。そこから自転車をすっ飛ばして電車に飛び乗り、仕事をして、あっという間に夜。家に帰って子どもとお風呂に入って寝かしつけをしたら一緒に寝てしまって、日付が変わった頃に目が覚めて、ごはんを食べて歯を磨いて、ああ、読みたい本も読めてないし、子どもともっとお話したかったな。寝て起きたら、また明日も忙しいな。ていねいの「て」の字も無い、こんな毎日を過ごしています。
妻が入院している一週間は、子どもと2人生活をしていました。普段の生活リズムのままだとどう努力しても普通の生活を維持できないので、この期間は午前中にお休みをもらって、昼から会社に行きました。いつもより少し遅い時間に起きて、ゆっくりごはんを食べて、洗濯をして、歌を歌って、ダンスを踊って、絵本を3冊読んでから保育所に行きます。手をつないで歩く保育所までの道。こんな所に花が咲いてる。あそこには鳥の巣があるんだね。あ、こんなところに喫茶店がある。今度みんなで来ようね。
余裕のない日々に取りこぼしていたたくさんの小さな幸せをひとつひとつ掴み取るように言葉を交わしながら、ゆっくりと歩きます。わずか一週間だったけど、二人にとってはとても大切な毎日でした。
また普段の生活リズムに戻ってパタパタとせわしなく時間が過ぎるようになって、心の余裕が無くなる度に、ゆっくり過ごしたこの一週間のことを思い出しています。