「舞台で息を切らしているところは絶対に見せない」演出振付家・MIKIKO が語る、絶対にやぶれない舞台作法
MIKIKOさん2月毎日更新 Q8.意図的に難易度の高いダンスを作ることもありますか?
さまざまなアーティストの振付を手がけるMIKIKO さん。その中には高度なダンススキルが求められる難しい振付も多く、見る側を楽しませてくれますが、そこにはどんなねらいがあるのでしょうか。
ファンの予想をいい意味で裏切って、楽しんでほしい
Perfume やBABYMETAL のファンの方たちの予想を、いい意味で裏切れるように、っていうのを楽しみながらやっているところはあります。ファンの方たちがさんざん曲を聴きこんだ後に、ミュージックビデオが公開されて、さらにその後ライブがあるので、ファンの方たちの脳内では「どんな演出なんだろう」と、ものすごくシミュレーションがされていると思うんです。そうしてライブで初めて実際に踊っているところを目にするわけですから、その予測の上をいきたいな、と。
具体的には、「存在しない音」の振りを加えてみたりしていますね。音が終わったあとに、決めのポーズを入れたり。そういう、見る人が“想像しなかったところ”を入れるようにするのがこだわりです。見る人によって、あえて直球で来てほしかったり、かといって直球過ぎると「また一緒だね」と思われることもあるので、そのバランスを取るのが難しいところですが、期待に応え、予想を裏切れるかがやりがいでもあります。
――MIKIKO さんが作るダンスはものすごくハードな動きを、クールな表情で踊るという印象があります。
それは“鉄則”です。歌舞伎でもそうですが、舞台上でパフォーマーが息を切らしているところは絶対見せず、後ろを向いた瞬間に「ふっ」と静かに息を吐く。そして表を向いた瞬間には「何でもないですよ」という表情でお客様の前に戻ること。激しく動き回る長時間のライブは例外ですが、ステージ上では水を飲まないなど、他にも鉄則はいろいろあります。そうした舞台作法というものは、どんなに時代が進んで、テクノロジーが高度になっても、昔ながらの技術や作法として残していきたいと思いますね。
明日の第九回の質問は、「Q9.ダンサーになってみたいと思うことはありますか?」です。