J1昇格へ「決定的に足りなかった」勝者のメンタリティは、どこにあったか。
岩政大樹が振り返るファジアーノでの2年間と昇格プレーオフ
■たった1点差。でも決定的に足りなかった
ファジアーノ岡山の一員としてプレーする最後の試合となった、J1昇格プレーオフ決勝から2ヶ月以上の時間が流れました。
まだ一度もビデオを見ていません。しかし、何度も、何度も振り返りました。あの試合を。そして、岡山での2年間を。
岡山にいる時に岡山のことは語りづらいところがありましたが、そろそろいいかなと思い、文字にしてみます。この2年間を、僕も整理してみましょう。
12月4日に行われたプレーオフ決勝で僕たちファジアーノ岡山は、初のJ1昇格をかけてセレッソ大阪と戦いました。結果は0対1の敗戦でした。
たくさんの方から「惜しかったね」と声をかけていただいています。確かにあと一歩でした。
しかし、僕の感覚では決定的に足りませんでした。たった1点ではありますが、僕たちは決定的に足りない、試合をしながらそのように感じました。
「足りなかったもの」。
それは俗に、勝者のメンタリティと言われるものだったと思います。大舞台でこそ、その姿を現す実態のないもの。それをチームに植え付けることを目的として挑んできた2年間は、それが足りなかったことで終わりを迎えました。
やはり、勝負の神様は正直な方でした。
試合の方を簡単に振り返ってみましょう。
僕たちファジアーノ岡山は、初のJ1昇格を目指し、セレッソ大阪のホームに乗り込みました。準決勝で松本山雅FCに終始押し込まれながら耐え抜いて掴んだ劇的な勝利は僕たちに勇気を与えてくれていました。
試合は概ねセレッソのペースで進みました。特に前半は耐える時間が続きました。崩されることはなかったものの、展開は予想していたものより苦しいものでした。
ただ、その展開はある意味で自分たちの展開とも言えました。セレッソほどの相手に先行逃げ切りを図るのは少し分が悪かったと思います。セレッソの勢いを受けたまま無失点で切り抜けていけば、自然に勝機が見えてくる。僕たちの頭は統一されていたと思います。