J1昇格へ「決定的に足りなかった」勝者のメンタリティは、どこにあったか。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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J1昇格へ「決定的に足りなかった」勝者のメンタリティは、どこにあったか。

岩政大樹が振り返るファジアーノでの2年間と昇格プレーオフ

■加入半年で起きた「熱」のぶつかり合い

 変化は少しずつ起こっていきました。
 夏頃のある試合で、ある若手選手が僕の指示に言い返してきました。多分、今でもその時は僕が正論を言っていたと思いますが(笑)、大事なことはそういうことではありませんでした。初めて「熱」がぶつかり合いました。

 僕はそれが嬉しくて、「これでチームは変わる」と思いました。

 その頃から、練習中に選手たちが意見を言い合う場面が増えました。苦しいチーム状態に「自分に何ができるか」と相談に来るものもいました。いろいろな選手と語り合いました。
 僕たちは徐々に新しいチームの形を見つけていきました。そして、それぞれが自分の立ち位置を見つけていき、試合においても自分の「色」をよく見せるようになりました。
 苦しいチーム状態において、僕たちはしっかりと団結と結束を示したと思います。徐々にまとまりを見せていった僕たちは、2年目に勝負をかける準備を整えました。

 2年目は確実に勝ち点を稼いでいきました。プレーオフにも進出したことのないチームが、現実的にJ1を見据えてシーズンを過ごすことができました。

 しかし、確実な戦いを見せる一方で僕たちにはもう1つの顔がありました。波に乗り切れないのです。連敗がない代わりに連勝は3連勝が最高でした。チームの状態が良くなってくるとどこか自分たちでブレーキをかけてしまうようなシーズン。
 それが完全に表面化したのがシーズン終盤の8試合連続勝利なしでした。

 この頃、プレーオフ進出をほぼ手中に収めた僕たちはあわよくば自動昇格を、と躍起になっていました。しかし、その流れに逆らうように、チームはどこか歯車が噛み合わない状況に陥っていきました。
 誰が悪いとか、何かがあったとか、そういうことではありません。ただ日常の中で、僕は少しだけ何かが違ってきたことを感じていました。
 キャプテンとして、どのタイミングで何をしようか、色々と考える時間も増えていきました。実際、色々な手を使いました。しかし、僕は少し優しすぎたかもしれません。「熱」や「厳しさ」をもう一度注入しようとしても、1年目のようにはいきませんでした。
 結局、プレーオフに進出することはできましたが、僕たちは最後に、一番大事な日常を少しだけどこかに置き忘れてしまっていました。

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岩政 大樹

いわまさ だいき

東京ユナイテッドFC

サッカー選手

1982年1月30日生まれ、35歳。187cm/85kg。ポジションはセンターバック。

山口県出身。周東FC、大島JSCを経て岩国高校サッカー部でプレー。東京学芸大学在学中に注目を集め、2004年鹿島アントラーズに加入。

2007年~2009年鹿島アントラーズのJリーグ3連覇に貢献。自身も3年連続Jリーグベストイレブンに選出される。

2013年鹿島アントラーズを退団。2014年にはタイプレミアリーグのテロサーサナでプレー、翌年ファジアーノ岡山に加入。

強さとクレバーさを兼ね備えたプレーでディフェンスラインのリーダーとして活躍する。2017年シーズンより関東サッカーリーグ1部の東京ユナイテッドFCに加入(コーチ兼任)。東京大学サッカー部コーチも兼任。

2016年シーズン終了現在で、J1通算290試合出場35得点、J2通算82試合で10得点。日本代表国際Aマッチ8試合出場。

2017年9月初の著書『PITCH LEVEL 例えば攻撃がうまくいかないとき改善する方法』を上梓。


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