元オリ・柴田健斗「最後の場所」で出会った「芸人」で「プロ野球選手」
『最速123キロ、僕は40歳でプロ野球選手に挑戦した』に収録されたチームメイトの証言
■なんとかあと一人投げきってくれ
初先発のときはもう祈っていましたね。
なんとかあと一人投げきってくれ、って。
あの日は本当にすごかったです。
抑えられた要因はストライクを取れたことにあったと思います。結局、ストライクを取らないことには打球は前に飛ばない。ストライクを取れば、何かが起きる可能性があるし、バッターも手を出さなければいけない。初先発のあの試合は、今まで見たそうすけさんの登板の中でも一番、ぽんぽんストライクがとれていました。加えて、120キロくらいのストレートと、手元で動く球、そして90キロの緩い球。バッターは打てそうで打てない感覚になってとてもイライラしたと思います。
僕がNPBで結果が出なかった理由も、そうすけさんが最初結果を出せなかった理由と同じでした。先頭バッターにフォアボールを出してしまって、悪い流れが続いていく。次の登板でそれだけはやめようと思っていても、またやってしまう……。メンタル的なものなんだと思うんですけど、ひとつのボールで、「あ、またやってしまうかも」って自分で自分を追い込んでしまうというか……。
そういう経験をしていたからこそ、それを乗り越えたそうすけさんには「すごいなあ」と思いました。
ふだんのそうすけさんを見ても、全部同じレベルで一生懸命だと感じます。野球はもちろん、芸人としての仕事も同じくらい一生懸命で手を抜かない。そして謙虚ですよね。「自分はみんなより年上だけど、野球に関しては全然レベルが及ばないから」ってなんでも吸収しようとする。
僕にとっては出会えて良かった「人としての先輩」という感じでした。これからもいろいろと話したり、食事ができたらいいなと思います。(『最速123キロ、僕は40歳でプロ野球選手に挑戦した』より)
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