トランプと小池百合子と
橋下徹は同根のおぞましさ。
「大衆扇動と炎上」の論理
藤井聡(内閣官房参与)×適菜収(作家)の新春放談 「2017年、日本はどうなるのか?」第4回《集中連載》
トランプ米国大統領の発言が連日世界を揺るがしている。
アメリカが反グローバリズム路線に舵を切る中、
安倍政権は移民政策をはじめ、グローバリズム路線を突き進もうとしている。
作家・適菜収氏は話題の近著『安倍でもわかる政治思想入門』で今の日本の姿に警鐘をならした。
内閣官房参与・藤井聡氏も国の行方を憂えている。
そんな二人が「2017年、日本はどうなるのか?」を徹底放談。
トランプ現象と橋下現象は同根
適菜 歴史がきちんと見える人は少ない。トクヴィルは20代でアメリカに行って、全体主義の到来を予見した。ああいうのは例外中の例外です。だったら、凡人は見える人間に学べばいいんです。
藤井 ほんと、おっしゃる通りです。単にそれだけの話です。
適菜 問題は、見抜いている人間に学ぼうという姿勢自体がなくなっていることです。
藤井 子供の頃からの「知性の発達」の全ての基本は「耳を傾ける」ことです。聞いたことがないことやすぐに理解できないことがあれば、耳をふさぐのではなく、まずは耳を傾ける。その上ですごいと思っても良いし、疑問に思っても良い。分からないと思っても良い。分からなければ覚えておいて、後で考えれば良い。それは「知的好奇心」と言うこともできるし、「謙虚な姿勢」と呼べる。それがいまの日本にはほとんどなくなりました。
適菜 その姿勢こそが、辛うじて文明社会を成り立たせているにもかかわらず。
藤井 仰る通りです。最近は理解出来ない事があれば、耳を傾ける前に、すぐ批判したり罵倒したりする。それは文明人ではなく単なる野蛮人。そうなると、金持ちや権力者、声の大きい人間が世界を牛耳ることになる。これはニヒリズム(虚無主義:善と悪、真と偽の区別なんて何も無い、という立場、ないしは気分)です。援助交際の構造と同じで、カネさえもらえるなら、利益さえ得られるなら、糞も味噌も皆一緒でいいなんてことになる。悲しい話です。
適菜 オルテガが、大衆人の定義をしています。その主な特徴は、自分自身凡庸であることを自覚しつつ、凡庸たることの権利を主張し、自分より高い次元からの示唆に耳をかすことを拒否していることだと。
藤井 いまの多くの政治家は、大衆を扇動すれば権力を握れることに気づいてしまったんです。その典型が、小泉純一郎元首相であり、橋下徹氏であり、小池百合子知事であり。
適菜 安倍晋三であると。もっとも政治家になってはいけない人間が政治家になってしまった。
藤井 例えば小泉のように、「単なる大衆扇動家」が総理にまでなるとメディアに影響を与えることができる。そこで言葉のノリだけで、真実を度外視して、雰囲気だけで政治をやろうとする。
適菜 かつての自民党と今の自民党は完全に別物ですね。支持基盤自体が変わってますから。
藤井 農業の票も離れてますね。それはつまり、「瑞穂の国」の民が支持していないという事です。
適菜 自民党や安倍政権は、大地に立脚した農家の声であったり、自分たちの住む場所を守ろうとする庶民の声を拾おうとする努力を放棄した。それで完全に都市政党、イデオロギー政党になってしまった。イメージ選挙で大衆を誘導したほうが手っ取り早いと思っているから。
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