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人工知能が「落ちこぼれ」のない教育を実現させる

AIは教育の何を変えるのか?

様々な分野において、「AI」の登場による衝撃や進化が報じられている昨今。「教育」については、10年後、20年後にどのような変貌が予想されるのか? また、私たちに求められる変化は? リクルート次世代教育研究院院長の小宮山利恵子さんにご寄稿いただいた。

◆社会が求める「教育」の変化とAI

 

「2011年に小学校に入学した子どもの65%が、今存在しない職に就くだろう」米国デューク大学のキャシー・デビッドソン教授の言葉だ。
 テクノロジーは私たちの想像を超える速さで進歩し続け、子どもたちが大人になる頃には、多くの仕事が人工知能(AI)を始めとしたテクノロジーに取って代わられることを表現している。ある人はその社会が訪れることを恐れ、またある人はその社会が訪れることにワクワクしている。

 人工知能(AI)という単語を、新聞やネットで見ない日はない。ここで少し、AIの歴史を振り返ってみようと思う。最初にAIという言葉が使われたのは、1956年にジョン・マッカーシーがその研究発表会で利用したことに始まるが、概念自体は1947年にアラン・チューリングによって既に提唱されている。この時一次的にブームになったが、間もなく収束。理由は、端的に言えばコンピュータの性能が低かったからだ。次にブームが起きたのは1980年代。商用のデータベースシステムが開発されたが、今度は利用できるデータの母数が足りず収束。日本では1995年がインターネット元年と言われているが、それから約20年後の今、コンピュータの性能とデータの数が揃って3度目のブームが来ているというわけだ。

 今年1月にスイスで開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)では、昨年同様にAIやロボットを軸とした「第4次産業革命」が主要なテーマとなっており、その中身は雇用、環境、経済、政治と多岐に亘る。その中で最も重要だと考えられているのが教育だ。

 日本で言えば、1970年代まで高度経済成長が続き、それに伴って「速く」「正確に」「同じ作業」が出来る人材の需要が急増した。学校のカリキュラムはそのような人材を輩出するのにとても適していた。いわゆる情報処理力が高い人材が重宝された時代だ。
 しかし、今はどうだろうか? 一部の単純作業がテクノロジーに取って代わられ、人に必要な能力というのは情報編集力と呼ばれる有象無象の情報を選択、分析し、既存の物を組み合わせて新しい価値を生み出すことや21世紀型スキルと呼ばれる創造力、論理力、協働力、コミュニケーション力等だ。
 急成長してきた社会における教育と、成熟化した社会での教育とは違うものではないか?
 そのような議論の中で、テクノロジーを用いた教育だったり、プログラミング教育を始めとしたSTEM教育(科学、数学領域に重点をおいた教育)の話、AIはどのように教育現場で取り入れられるのかといった話が出てきている。

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小宮山 利恵子

こみやま りえこ

リクルート次世代教育研究院院長。1977年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。衆議院、株式会社ベネッセコーポレーション等を経て、2015年11月「スタディサプリ」を展開する株式会社リクルートマーケティングパートナーズ入社。同年12月より現職。財団法人International Women's Club JapanにてSTEM教育推進委員長を務める。全国の学校等で情報モラル啓発講演を実施した経験がある他、ICT教育を中心に国内外問わず幅広く取材活動を行っている。講演、シンポジウム等多数登壇。超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。東洋経済オンラインにてIT教育の連載を持つ。NewsPicksプロピッカー(教育)。

 


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