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人は脳をコントロールできるのか。脳科学者の答え。

脳はどこまでコントロールできるか?1/7

■人間の脳は、もともと持っているものをコントロールし抑える方向に成長していく

 脳科学者で『脳はどこまでコントロールできるか?』の著者である中野信子氏によれば、人間の脳は、もともと持っているものをコントロールし抑える方向に成長していくのだと言う。ひらめきや妄想の力が、子どもの方が優れていたりするのはこのせいで、脳は先に妄想とひらめきひらめきの能力が育ち、その後にちょっと遅れて抑制の部分が発達していくのだそうだ。

続けて、この抑制機能は会社や家庭など人間関係の必要なところで上手くやっていくためにはどうしても必要になってくる能力であると言う。

要は、社会生活のなかでは妄想する能力のほうが重要度が低いので、それはいつも抑え込まれてしまうということらしい。

もう少し付け加えると、とくに日本のような空気を読むことを極度に強いる「ハイコンテクト社会」では、口にすると子どもっぽく、無能に見えてしまいがちな妄想などより、空気を読む力やコミュニケーション能力のほうが圧倒的に重要視されるのだ。

本当は斬新な発想を思いつく「妄想力」があるのに、それを現実化できるまでには育てられないのが、いわば普通の人ということになる。

そこで、レイロックの話に戻るが、レイの少年時代のあだ名は「夢見るダニー」。そのあだ名からして、空想ばかりしている少年であったことがわかる。レイにはそうした妄想を上手く使いこなす素質が子どもの頃から備わっていたとも言えるが、もう一つ、52歳でマクドナルドをスタートさせるというのは、相当に夢を見続ける努力というものがあったのではないかと思える。

「脳はどこまでコントロールできるか?」にもあるが、そうした努力ができる能力とは、それまでの半生の蓄積のなかで育まれてきたとも言える。もし仮に彼が32歳でマクドナルド兄弟に出会っていたとしたら、果たして「絶対に大成功する」と言い切れたかどうか?

妄想することは、成功するための重要なアイテムであることは確かだが、それを活かすには他にもさまざまな要素が必要になってくるようだ。

次回以降、さまざまな場面における「脳のコントロールの仕方」を解説していきたい。(「脳はどこまでコントロールできるか?」より要約)

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  • 中野 信子
  • 2014.08.19