一番値段が下がるのはチーズ? 日本農業にも大きなプラスもたらすはずだった? 3分で分かるトレンドワード【TPP】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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一番値段が下がるのはチーズ? 日本農業にも大きなプラスもたらすはずだった? 3分で分かるトレンドワード【TPP】

【TPP】を慶應義塾大学教授・渡邊頼純氏が徹底解説②

●農業にダメージ? むしろ日本の農産品を売り込めるチャンス

トオル…なるほど。こうしてお話を聞くとTPPはいいことずくめの感じですが、逆に外国産のものがどんどん入ってきて日本の農業にダメージを与えたる、ということはないのでしょうか。

渡邊私はダメージになるとは思いません。歴史的に日本は農業保護政策をとってきたわけですが、そのせいでこれまで日本の優れた農産品が外に出ていきにくい状況でした。それは日本に限らずアメリカやカナダも、発展途上国も。各国同じスタンスで自国の農業を守ってきたのです。「自分たちはおたくのマーケットに売り込まない、代わりにおたくからもうちに売ってこないでくれ」と言いながら。結局その「縮小均衡」から何が生まれたか? どんどん市場は元気を失っていきました。でもTPPができればこれからは「拡大均衡」の考え方で、日本の農産品をどんどん売り込んでいける。そして国際市場で競争することによって日本の農業は鍛えられ強くなります。さらに、農産品の輸出が増えることで食料自給率が上がるというメリットもあります。

シズカ…ちょっと待って! なんで輸出が増える=自給率アップなの? 普通に考えて自国で作ったものが出ていっちゃうわけだから逆なんじゃない?

渡邊…そこは計算式のカラクリがあります。食料自給率は=国内総生産 / 国内消費仕向量(国内生産量 + 輸入量-輸出量±在庫増減)という式で求められます。分母のところで輸出量がマイナスされていますね。ということで輸出が増えると分母の所が小さくなって、自給率は上がるのです。

(※計算式は「品目別自給率」の場合)

トオル…へえ知らなかった! しかし分かりにくい式ですね…

渡邊…意外とみなさん食料自給率がどういった式で計算されているかご存じないと思います。そもそも日本の自給率は「虚構」と言っていいぐらい現実と離れたものになっています。よく日本は「食料自給率がたったの40%しかない!」といった言われ方をしますが、実際にみなさんがスーパーで野菜とか肉を買う時に棚を見回してみてください。一体どれだけ外国産が入ってきているか。外国産はせいぜい1割ぐらいではないですか。政府は自給率をわざと低く出して、農業保護に国民を駆り立てているんです。あまり大きな声では言えないですが、政府と既得権益を守ろうとする農協、それにぶらさがる農水省の族議員。この保護主義トリオがこれまでずっとカベになってきました。

トオル…ほうほうそんな裏事情が。。どこまで突っ込んで聞いていいかちょっと躊躇しますが(笑)。

渡邊…これまでは「TPPは、自由貿易は、日本の農業にとって良くない」と思い込まされているところがありました。でも、だんだん農家の意識も変わってきています。耕作地に恵まれている北海道の農家からは(北海道の平均耕作面積は全国平均の1.9ヘクタールに対し、38ヘクタールと約20倍!)「TPPを使って農業を強化したいがどうすればいいか」という声も聞かれます。そういった意識が高い農家達は、オーストラリアやニュージーランド、スイスやフランスといった国へ若い担い手に「農業留学」をさせていたりしていますよ。

【第3回につづく】

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