アメリカ抜きで発効の可能性は? 二国間FTAという手もある? 3分で分かるトレンドワード【TPP】
【TPP】を慶應義塾大学教授・渡邊頼純氏が徹底解説③
「今さら聞けない」そんなニュースのキーワードはないでしょうか。これだけ押さえておけば、ニュースがみるみる分かる。上司にも「あいつ知ってるな」と思わせる、「トレンドワード」をスピード解説。「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが生徒役となり、その分野の先生たちに話を聞いていきます。
(キャラクター紹介)
トオルくん…学生時代の付け焼き刃の勉強がたたり、ニュースが分からないことだらけ。素朴すぎる疑問を発してよく相手を困らせる。20代会社員。
シズカちゃん…しっかり者で、いつも「これって〇〇ということですよね」とまとめてくれる。でもじつは結構天然ボケ。20代会社員。トオルとは同僚。
トオルくん…学生時代の付け焼き刃の勉強がたたり、ニュースが分からないことだらけ。素朴すぎる疑問を発してよく相手を困らせる。20代会社員。
シズカちゃん…しっかり者で、いつも「これって〇〇ということですよね」とまとめてくれる。でもじつは結構天然ボケ。20代会社員。トオルとは同僚。
(~前回のおさらい「TPPによって食の選択肢が増える。例えばピザにトッピングするチーズのバリエーションが増える。日本の農業にも大きなプラスに」~)
●トランプがTPPを離脱したのは「不勉強」ゆえ
トオル…TPPによって、もっと日本の農業が外向きになるといいな。そこでちょっとアメリカの話に戻るんですけど、なぜトランプ政権は脱退を表明しているのでしょうか。
渡邊…これはトランプの不勉強に基づく「誤解」が原因だと思います。おそらくトランプはTPPについて関連書を読んで勉強したり、アメリカ政府が作っている概要紙なんかも全く読んでいない。自由貿易はアメリカ人から職を奪っている――その間違った思い込みだけで国民に曲解を強いています。しかし現状、もはや自動車だってアメリカ1国だけでは生産できない状況の中で、自由貿易を拒むというのは無理があります。元々アメリカは第二次世界大戦以降、いわば「自由貿易の女神」となって世界の市場を開き、それを下支えするGATT(関税貿易一般協定)・WTOといった制度づくりもしてきました。日本はGATTに1955年に加盟しましたが、イギリスやフランスが反対するなか、アメリカだけが「自由貿易の枠組みに入りなさい」と加盟を後押ししてくれたのです。それがいま60年たって、今度は日本がアメリカに対して「自由貿易のメカニズムに戻ってきてほしい」と言っている状況です。これは時計の針を巻き戻してしまっているようで、非常に残念です。
トオル…トランプが翻意して、アメリカがTPP逆転参加というのはありえないんでしょうか。
渡邊…どうでしょうか。トランプは選挙勝利後、公式な政策への言及はほとんどなかったので真意が分かり兼ねる部分もありました。ただ大統領令が出てしまった以上、逆転参加は難しいと思います。