カルロス・ゴーンよりも衝撃だった、酒井法子の逃亡劇とその裏側
逃亡していた6日間の酒井法子と周囲の人たち
では、逃亡していた6日間、彼女はどうしていたのか。都内の他には、都下の東大和や箱根、そして山梨県内にいたらしい。実際、事務所の会見が行なわれた4日の午後3時頃には、彼女の携帯電話の電波が山梨県身延町で確認されていた。捜索願が出されたことをテレビで知った彼女は「びっくりした」という。
ちなみに、山梨は酒井にとって縁のある土地だ。会長いわく「幼い頃から里子に出されたり、複雑な家庭環境だった」という彼女の父は、福岡で活動していた山口組系暴力団組長。元ホステスとの再婚を機に、埼玉の親戚の家で暮らしていた娘を呼び寄せた。そして、娘がデビューした87年に足を洗って金融業に転じ、酒井にとっては継母にあたる妻とともに山梨へ移住する。が、その2年後、交通事故で亡くなった。
会長は「法子のお父さんがそっちの人だというのは、スカウトした後で知りました」としつつ、
「アイドルとしての将来性は抜群だったので、それがデビューへの壁にはならなかった。お父さんを亡くしたとき、法子は寝台を足で蹴って泣いていた。(略)そのとき僕は法子の親代わりをやらなければいけないと決心したんです」(週刊文春)
と、振り返る。酒井の覚醒剤使用を疑わず、自殺の心配ばかりしていたのも、一種の親バカだったのかもしれない。「ヤク抜き」目的だったともされる逃亡を助けたのは、元組長夫人である継母と、その40年来の知り合いという社長、その兄でイトマン事件の許永中らとつきあいのある弁護士だった。彼女は結局「芸能界の父」より「そっちの継母」を頼ったのだ。
ただ、こうした「複雑な家庭環境」が酒井の魅力にもつながっていたのだろう。デビュー当時は明るさが売りだったのに、女優としては淋しい役どころで人気を得るようになったのも、それと無縁ではないはずだ。
ところで、冒頭で触れたゴーンの件でも意外な話が飛び出した。彼の父がかつて密輸に絡んだ殺人などで死刑判決を受け、懲役に減刑されてからも脱獄を企てたりしていたことが報じられたのだ。
アウトローな血と犯罪、という意味で、このふたつの逃亡劇は通じるところがあるのかもしれない。
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『痩せ姫 生きづらさの果てに』
エフ=宝泉薫 (著)
女性が「細さ」にこだわる本当の理由とは?
人類の進化のスピードより、ずっと速く進んでしまう時代に命がけで追いすがる「未来のイヴ」たちの記憶
————中野信子(脳科学者・医学博士)推薦
瘦せることがすべて、そんな生き方もあっていい。居場所なき少数派のためのサンクチュアリがここにある。
健康至上主義的現代の奇書にして、食と性が大混乱をきたした新たな時代のバイブル。
摂食障害。この病気はときに「緩慢なる自殺」だともいわれます。それはたしかに、ひとつの傾向を言い当てているでしょう。食事を制限したり、排出したりして、どんどん瘦せていく、あるいは、瘦せすぎで居続けようとする場合はもとより、たとえ瘦せていなくても、嘔吐や下剤への依存がひどい場合などは、自ら死に近づこうとしているように見えてもおかしくはありません。しかし、こんな見方もできます。
瘦せ姫は「死なない」ために、病んでいるのではないかと。今すぐにでも死んでしまいたいほど、つらい状況のなかで、なんとか生き延びるために「瘦せること」を選んでいる、というところもあると思うのです。
(「まえがき」より)